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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

最近気になる言葉

(たてつけ) 

 前代未聞の感染症の拡大で国と都道府県の間に溝ができ、両者の間でいろいろ議論が戦わされています。そうした折りによく聞く言葉に「たてつけ」というのがあり、耳障りな言葉だなあ、と思うのは私だけでしょうか。「立て付け」あるいは「建て付け」とはもともと大工さんが使う言葉で、たとえば鴨居なんかがゆがんでいると障子やふすまはガタピシ、スムーズに開け閉めできません。こんなときに「建て付けが悪い」というのではなかったかと思います。

 ところが最近、大臣や知事の皆様が好んで「たてつけ」という言い回しを使っています。「法律のたてつけがそうなっているので……」というのが典型的な用例。一見分かりやすい言葉でありながら、実は有無を言わさず「そういうご要望には応えられません」と国民、都道府県民を言いくるめているような気がします。

 そこには裏で政治家を操る官僚たちの巧妙な言い訳、責任逃れの悪知恵が隠されていると言ったら言い過ぎでしょうか。たてつけの悪い法律はいくらカンナで削ったり他の木切れをはさみこんでもいまくいきません。きちんとした法律や条例の改正で国民、県民の切実な要望に添ったものに作り変えてほしいものです。

 (オーバーシュート)

 「オーバーシュート」という言葉はだれが使い始めたのかよく知りませんが、たぶん感染症の専門家たちでしょう。原義は「度を越す、行き過ぎる」という意味でしかなく、英語圏では感染症の爆発的な拡大という意味では通じないそうです。どうやら日本の感染症の専門家たちがあえてインパクトのある和製英語を仕立てたというのが実状とか。「鬼面(きめん)人を驚かす」、つまり見せかけの威勢を示して人を驚かすつもりでしょうが、そんなこけおどしは日本人には不要です。

 ほかにも今回の事態で登場した言葉に「クラスター」があります。私はすぐに「クラスター爆弾」のことを思い浮かべました。一つの爆弾のなかにいくつもの小さな爆弾がブドウの実が房をなすように仕組まれたとりわけ非人道的な兵器です。確かに感染の拡大の様子はクラスター爆弾を投下したイメージにぴったり。「クラスター」という言葉に関しては異議を唱えません。(私の主張もかなり行き当たりばったりです)

本誌:2020年4月27日号 11ページ

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