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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

フランス語ふたたび

 人生70年も生きていると、まだまだやるべきことが残っているという感じがすると同時に、何事ももういいや、できることは大体はやってきたし、やろうとしてもできなかったことは元々才能がなくてできなかったに過ぎない、そういう意味で人生に後悔などない、とこのごろそんな心境になっていました。

 ところが先日、やなぎみわのワークショップに参加したことが導火線になったのか、「何かまた学びたい」欲求が忽然と湧いてきました。そんなことを思っていたある日、喫茶店で山陽新聞を読んでいたら「カルチャープラザ」の受講案内が目にとまり、そこに「フランス語中級」というクラスがあるのを発見しました。4月は新学期の季節で何かを始めるのにはぴったりのタイミングです。

 ラディックさんというポーランド出身の画家の方が講師で、受講生は88歳の高齢男性と60代の元高校教師、それに若い女性の3人だけ。小人数で内容の濃いゼミが展開されていました。88歳のおじいちゃんはかつては数学教育に携わっていた方のようで元気はつらつ、高校の歴史の先生だった方はフランス語を始めてまだ1年ということでしたが、すでに中級レベルのフランス語を完全にマスターしているように見受けられました。

 やはり学校の先生というのは大変なインテリで、勉強のやり方に熟知された方々です。きちんと予習したうえで出席されていました。私はというと、学生時代にフランス文学を専攻したはずなのに、久しぶりにフランス語の文章を読んでもさっぱり内容が理解できず愕然としました。

 フランス語の単語や文法はそんなに忘れていないはずなのに、どうやら私の脳内では文章を解析したり意味を把握する機能が、あまりのブランクに、死にかかっていたようです。家に帰ってから辞書を丹念に引いて、集中して思考した結果、何とか理解できるようになりました。

 こういう作業をすると演算装置としての大脳がいかにも働いている実感があります。88歳のおじいちゃんが年齢を感じさせないのは若い頃から一貫して頭脳を使ってこられたからだと思います。私も老先生方にあやかることにし、正式に受講申請してきました。これを機会にあと18年、88歳現役をめざしてフランス語に取り組んでいきたいと思います。

本誌:2019年4月8日号 16ページ

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