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連載記事小林裕彦弁護士の「ホンネの経営法務」

企業と法改正

企業と法改正について

 今回は、企業を巡る最近の法改正についてお話します。企業に関する法律の規制は、多岐にわたります。それらの法律は、不変なものではなく、その時代の状況に応じた改正が行われます。企業は、そうした法律の変化に柔軟に対応していかなければなりません。法律改正も不確定な要素という意味で、企業にとってのリスクの1つといえます。

働き方改革関連法案

 ここで最近の法改正について簡単に紹介します。すでにご承知のことと思いますが、昨年、国会で働き方改革関連法案が成立しました。働き方改革関連法は、平成31年4月1日から順次施行されていきます。法改正のポイントは、労働時間法制の見直しと雇用形態に関わらない公正な待遇の確保です。

 まず、労働時間法制の見直しの目的は、働きすぎを防ぎながらワーク・ライフ・バランスと多様で柔軟な働き方を実現することにあります。見直しの内容としては、残業時間の上限規制や1人1年あたり5日間の年次有給休暇の取得の企業に対する義務化などです。

 従来は、残業時間には法律上の上限はありませんでした。しかし、今回の改正では、適用を猶予・除外される事業・業務を除き、原則として、月45時間、年360時間が上限とされ、例外として臨時的な特別の事情あって労使が合意する場合でも、年720時間以内(休日労働を含まない)、月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません。原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までです。 

 また、従来は労働者が自ら申し出なければ、取得できなかった年次有給休暇を使用者が労働者の希望を聴き、希望を踏まえて時季を指定して年5日まで取得させることができることとなり、年5日の年次有給休暇の取得を企業は義務付けられることになります。

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本誌:2019年3月11日号 17ページ

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