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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

ある夜のできごと(中編)

 (前回のあらまし)夜分、幼なじみの加代ちゃんから緊急事態の発生を思わせる電話がかかってきて、家に駆けつけたものの全く応答がありません。いったん引き上げるしかありませんでした。しかしこういう時こそ警察に相談すべきと思いました。

 少し大回りして地域を管轄する交番に行ってみると夜遅い時間なのにミニパトカーが見えました。車を停めて交番の中に入っていくと奥から3名の警察官が出てきてくれたので、これこれこうで行ってみたけどだめなのでどうしたものか、考えあぐねて交番に立ち寄ったと説明しました。当然のことながら私と加代ちゃん夫妻の関係も細かく聞かれました。

 「我々が出動したら、あなたが通報したことは亭主にすぐばれますよ。いいですか?」こういう非常時でも警官は慎重というか落ち着いていて、直ちにパトカーで駆けつけるというのではないのですね。私の話をじっくり聞いてくれるのが意外な気がしました。私はこう申し上げました。

 「加代ちゃんの病状が心配でたまらない、警察を呼んだことでご主人から怒鳴られてもそれは仕方ないこと。また何が何でも警察に出動してくださいとも言えません。本当にどうしていいか分からないのです。事態が最悪の結果になっても私はできることはしたつもりだし、警察を責めることもいたしません」

 一瞬の沈黙のあと、3人の警官のうち一番上席と思われる方が決然と立ち上がり「これから見に行きます」と私に告げました。パトロールの結果は後ほど電話するので自宅で寝ないで待っているよう指示がありました。警察っていったん決断したらもう迷わないんだな、さすがプロは仕事が違う!などと頼もしく思い、また感謝しながら自宅に戻りました。

 30分ほど経過したころ警察から電話がありました。やはり呼び鈴には応答がなかったが、どの部屋も消灯されていること、母屋、離れともエアコンの室外機が運転中であることを確認したので引き上げたとのことでした。私はそれでは加代ちゃんが大丈夫かどうかは不明のままではないかと思ったのですが、警察も令状もないのに勝手に人家に踏み込むことはできないのでしょう。

 翌朝、遠方でクリニックを開業している息子さんに連絡を取ってみるしかないと思いましたが、興奮と不安で寝ることもできません。(続く)

本誌:2019年2月18日号 25ページ

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