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連載記事山田響子の魅力を引き出すコミュニケーション術

ビジネスの場での自己紹介

 ビジネスをしているなら、いえ、何らかのコミュ二ティに所属するのなら、どんなに苦手でも避けては通れないことがあります。それは自己紹介です。自己紹介には大きく異なる2種類の目的があります。今からしようとしているのは、どちらの自己紹介なのかを意識しておくことが必要です。

 まず、一つ目の自己紹介の目的は「交友」です。仲良くなってね、という自己紹介です。転校生が最初の登校日にする自己紹介といえば分かりやすいでしょうか。わたしはこのコミュニティの仲間として安全ですと分かっていただき、交友を持ってほしいというのが目的です。

 勉強会や趣味のサークルなど、何かの新しいコミュニティに初めて参加した時や、転勤や転職などで新しい職場についた時も、この交友の自己紹介が必要です。

 人は共通点がある人には親しみを持つものです。出身地や出身校、家族構成や趣味などを積極的に自己開示することで共通点を見つけやすくなります。もしも興味深い経歴があれば、共通点はなくてもあなたに関心を持ってくれ、話題のきっかけになるかもしれません。学生時代に自転車で日本一周した、ですとか、高校時代の部活動では全国大会に行ったことがある、といったことは、印象に残るきっかけとなり話しかけてもらえるネタとなります。

 もう一つの自己紹介の目的、実はビジネスの場での自己紹介はこちらをしっかり意識しておくことが大切です。それは「価値の伝達」です。この場に集まった皆さんに、自分が差し出すことのできる「価値」を言葉にするのです。

 ここで勘違いされやすいことがあります。「私が何ができるか」を伝えるのではなく「私が関わることによって、どんな価値を皆さんが受け取っていただけるか」を伝えるのです。似ているようですが違うのは主語です。「私が」ではなく「あなたが」なのです。

 世の中にはたくさんの情報があふれています。現代人が1日に受け取る情報の量は江戸時代の1年分とも言われているそうです。あふれる情報の中で、人は自分に関係があるか、ないか、を常に意識して情報と触れています。だから、私はあなたに関係あるひとですよ、と伝えることが大事なのです。

 自己紹介をどうぞ、と言われたら「何を言おう?」と自分の中のネタにアクセスすると思います。しかし、その前に「この場にいる人たちの関心は何だろう?」「私の持っているものの何が、この人たちにとって価値と感じてもらえるだろう」と、まずはこの場に集まっている人たちの関心に関心を寄せてみるのです。その上で自分の中のネタにアクセスしてみてほしいのです。

 もしかするとビジネスの特性上、この場の人たちには特に提供する価値がないかもしれません。その場合は、仕事のことは業種や専門性が判る情報を伝えて、あとは、交友の内容に切り替えよう、とすることもありえます。逆に、趣味の会での自己紹介だけど、もしかしたら自分の仕事に関心を持つ人がいるかもしれないと思ったら、交友の場でも価値を伝える言葉が入ることもあるかもしれません。

 どちらにしろ、意識するべきはまず「私」ではなく「あなた」なのです。

本誌:2018年12月10日号 19ページ

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