WEB VISION OKAYAMA

プレイバックおかやま経済

1968年の経済ニュース

 1964年2月の創刊号から53年間、約2000冊のVISION岡山バックナンバーの全ページをデータベース化し、WEB Vision岡山(http://www.visionokayama.jp)から検索できるアーカイブサービスの開始に合わせて、誌面を通して半世紀の岡山経済を回顧する「プレイバックおかやま経済」。今回は海外進出を目指す県内企業の動向や新しい岡山商工会議所会頭に就任した梶谷忠二氏のインタビューなど、1968年の経済ニュースを紹介します。

①宮下酒造が新築して移転

 「宮下酒造合名会社は、玉野市築港の工場が手狭になったため、岡山市西川原に社屋を新築、全面移転した。世の花、藤娘の銘柄で清酒醸造を行い、年間の醸造能力は25万5000㍑」(1月11日号20ページ掲載)

◆日本酒離れが進む中、1994年の酒税法改正を受け同社は地ビール製造に参入した。当時周囲は大反対だったが、宮下附一竜社長は米国の自動車王ヘンリー・フォードの「一生懸命挑戦し失敗したなら何ら恥ではない。失敗を恐れる心の中にこそ恥辱は住む」という言葉を胸に決断。昨年6月には自社敷地内に観光施設「独歩館」をオープンするなど、挑戦し続ける社風を貫いている。

②両備バスが分譲住宅団地を建設

 「両備バス㈱の不動産部は、岡山市乙多見の旧西大寺鉄道『大師駅』跡地を中心に、分譲住宅団地『大師団地』の建設に着手した。同社が本格的に分譲住宅部門に進出するのは今度が初めて」(2月1日号18ページ掲載)

◆第一期工事で約1万㎡を造成、一戸当たりの敷地面積は約200㎡で50戸を建設し、第三期工事までで200戸程度の団地を目指す構想が紹介されている。公共交通を手掛ける両備バスはこのころからスーパー、不動産など事業の多角化を推進し、50社を超す企業グループに成長した。

③海外進出目指す地場企業

 「積極的に海外進出を目指す企業が増えてきている。東南アジアを中心に、合弁会社の設立、技術提携、工場進出、プラント輸出などが目立っており、国内での労働力不足、人件費の高騰などの理由のほかに、低開発国に対する特恵関税実施の動きなどがこれに拍車を掛けている」(2月11日号12ページ掲載)

 ◆まだまだ障害は多いものの、高度経済成長とともに県内企業のグローバル化が進んでいることを伝える記事。㈱滝沢鉄工所とナカシマプロペラ㈱の合弁会社構想、萩原工業㈱のプラント輸出、原木輸入から現地で加工、半製品輸入への切り替えを検討する三乗工業㈱、台湾と韓国に下請け工場を設ける㈱森下製網所などの動向を紹介している。

④トヨタオート岡山発足

 「トヨタオート岡山㈱は2月、トヨタ自動車の新しいディーラーとして発足、4月からカローラセダン、ミニエース、パブリカバンを販売する。販売エリアは県下全域で、現在児島、新京橋営業所を建設中」(4月1日号3ページ掲載)

 ◆トヨタ系列4番目の販社として産声を上げたトヨタオート岡山(現ネッツトヨタ岡山㈱)は現在、新車店舗11カ所、中古車3カ所などの店舗網で、年間売上高は118億円。CS面も強化しており、このところ毎年のようにディーラー表彰を受けている。

⑤クラブン㈱に社名変更

 「倉敷文具㈱は、取り扱い商品の増大、特に事務用機械類などの販売増加により、企業イメージの一新を図ってクラブン㈱に社名変更した」(4月21日号4ページ掲載)

 ◆法人営業主体だった同社は1995年、大型文具専門店「うさぎや」1号店を倉敷に出店。さまざまな業界で郊外型店の出店が相次ぐ中、メーカーや社員の大反対を押し切り伊澤正信社長が決断。順調に業績を伸ばし、昨年7月には「福山南店」を出店し、備前・備中・備後の三備地区で事業拡大を図っている。

⑥県、市と連絡し発展に努力―梶谷忠二岡山商工会議所会頭

 「県、市とも十分連絡を密にし、三位一体となって地域経済の発展に努力していくことが一番望ましい姿ではないでしょうか。今後は定期的に連絡会議のようなものを開く機会を持ち、まず話し合うことから始めていきたいと思っています。そして商工会議所の指導性を積極的に高めていきたいと願っているのですよ」(4月21日号5ページ掲載)

 ◆工藤恒四郎氏の後を受け第24代岡山商工会議所会頭に就任した梶谷忠二氏のインタビュー。新幹線開通を4年後に控え、瀬戸圏中核都市としての岡山像や会議所会館の建設、岡山市と西大寺、玉野との合併問題などについての自論を大いに語っている。

⑦新鋭機導入し業界トップクラスへ―平林金属

 「平林金属㈱はプレス工場の増築に続き、シャーリング工場を新築。工場の拡大を図るとともに、合理化促進の一環として工場内に重量物を容易に上げ下げする天井走行3tクレーンに2tまで吸い上げるリフティングマグネット一基を取り付けた。この機械は県下の同業界では初めてで、特にトラックなどの積み下ろし作業に威力を発揮し、人手不足の解消とスピードアップに一役買っている」(5月11日号2ページ掲載)

 ◆1956年創業の同社は、鉄鋼産業の発展と歩調を合わせて業績を拡大。販路も順調に拡大し、売上高10億円の達成を目指す方針が紹介されている。2015年には家庭で不用になった小型家電や金属類、古紙などを回収し再資源化するサービス「えこ便」を開始し、正しいリサイクルの普及にも努めている。

⑧尾崎商事が創業115周年記念

 「尾崎商事㈱は創業115周年、株式会社設立40周年記念式典と本社社屋、第二菅公寮、製品倉庫の完工披露式を行った。同社は官公学生服、カジュアルウェアなどの生産で前年度売上高31億1000万円を計上している。従業員は1400人」(5月21日3ページ掲載)

 ◆「カンコーブランド」でおなじみの学生服メーカー。倉敷市児島田の口から2005年には岡山市のリットシティビルに本社を移転し、2013年の創業160周年を機に社名を「官公学生服㈱」に変更。日本を代表する学生服メーカーとして存在感を高めている。

⑨輝く25年の歴史誇る三菱水島自動車製作所

 「三菱重工業㈱水島自動車製作所は9月1日で水島立地25周年を迎え記念式典を行う。一面葦の原だった水島で航空機の生産からスタート、新産都の“優等生”にまで成長し、進出大手企業と地元企業との結びつきが強調される中で、そのお手本とされる」(9月1日号2ページ掲載)

 ◆立地25周年を記念した特集記事。60億円を投資して生産能力を現在の約2倍の月産4万~5万台に引き上げる構想を持っていることや、協力企業との連携ぶりなどを紹介。西沢弘所長へのインタビューでは、体質を改善し提携、合併を進め、米国ビック3の進出に対抗する決意を語っている。

⑩山陽相互銀行に行名を変更

 「㈱三和相互銀行は定期株主総会を開き、1969年4月1日から行名を『㈱山陽相互銀行』に変更することなどを決めた。同行の行名は1951年相互銀行法の施行に伴い従来の「三和無尽㈱」から改称したが、営業基盤である岡山、広島、兵庫の地域性を表現した行名をとかねてからの宿願だった」(11月21日号3ページ掲載)

 ◆行名変更のメリットとして記事では「伸びゆく山陽道の親近感を強める」「躍進感にぴったりする」「本拠が明確になる」「三和銀行との間違いがなくなる」などが紹介されている。1989年には普通銀行に転換し、行名を現在の「㈱トマト銀行」に変更した。

会員申し込みはこちらから

本誌:2018年4月9日号 12ページ

PAGETOP