WEB VISION OKAYAMA

連載記事

走れ、トンカツ隊員

 先日テレビ朝日系列でやっていた「世界警察捜査網」というドキュメンタリー番組を見て久々に笑い転げました。新宿歌舞伎町や大阪ミナミの治安維持に活躍する警察ドキュメンタリーの延長線上の番組のようですが、日本ではとかく“正義対悪”という平板な展開になります。ところが韓国の警察は違いました。

 まず体重120㎏の巨漢警察官はみずからを「トンカツ隊員」と称して大活躍。不審者がドアを激しくたたく音におびえた若い女性のせっぱ詰まった助けを求める電話にトンカツ隊員たちは女性のマンションに駆けつけます。頑丈なドアの取っ手は無惨に引きちぎられノックにも応答がありません。壊れたドアが開き、中に踏み込んだトンカツ隊員が目にしたものは?

 上半身裸で赤ん坊にミルクをやっている若い男の姿!?でした。「嫁が赤ん坊の面倒を見ないからオレがミルクをやってるんだ」。隣の部屋にいた妻に事情を聞くと、「夫が夜遅く酔っぱらって帰ってきたのでドアの鍵をかけて入らせないようにしたらドアを壊した」などと恐怖を語るのですが、これってお笑いかヤラセかと思うぐらい日本人の想像力を超越した展開です。夫を不審者といって警察に通報する妻も妻なら、素手でドアノブを引きちぎって部屋に入って赤ちゃんに授乳する亭主にも驚かされます。

 タイの麻薬取り締まりで活躍するスッポン隊長。食らいついたらゴールデントライアングルの山奥まで麻薬密売グループを追いつめます。第一段階として町中の売人を逮捕。スッポン隊長は刑の軽減を餌に仕入先の男の情報を簡単に入手、捕獲した仕入先の男もあっさり元売りの居場所を白状。そしてジャングルのような山道の奥にある元売り一味のアジトを急襲します。アジトでくつろぐ3人の若い男たちはチンピラ。本命の親分はいずこに?

 子分たちが指さす先に親分発見! 親分はアジトの隣の畑で一人せっせと農作業に汗していました。この若いミャンマー人親分も簡単に逮捕され、スッポン隊長の麻薬取締り作戦はひとまず完了。「世界警察捜査網」はおおよそこんな感じのドキュメンタリーでした。日本も江戸時代までは井原西鶴が描写したようにおもしろい国だったのに、今は清く正しく、つまらない国に成り果てました。

本誌:2015年7.27号 14ページ

PAGETOP