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“計画停電”

 阪神大震災の記憶もまだ薄れてないのに、それをはるかに上回る東北関東大震災の惨状を見て言葉もありません。神戸の場合は地震直後から救援と復興が始まりました。しかし、今回の震災では福島県の原発が次々とコントロール不能に陥るという信じがたい事態を引き起こし、政府の対策本部は地震と津波による被災者対策に専念できない状態です。

 そこへもってきて東電は電力不足を回避するために“計画停電”なる暴挙に出ました。夜になって突然明日から計画停電すると通告された東電サービスエリア内の住民の驚きと混乱はいかばかりかと想像されます。

 数時間後には始発電車を走らせるはずの鉄道事業者、器械で生命を維持している患者を抱えている病院はもちろんのこと、すべての人にとって停電の宣告にはお手上げだったに違いありません。

 私の母は気管切開をしているので2、3時間ごとに痰を吸引しないと窒息死します。今までは停電と言えば雷が落ちたときほんの2、3分電気が止まるぐらいのものと軽く考えていましたが、これからは本気で非常時の電源確保を考えないといけないと痛感しました。

 東電の場合、電力の不足は1000万kWで需要の25%に相当するそうです。それならば地震や原発事故対策に忙殺される政府・自治体に余計な負担をかけず、また市民生活や企業活動を混乱させないだけの知恵がなぜ東電にないのでしょう。

 停電ではなく25%の節電ならこの非常事態に住民も企業も喜んで協力するでしょう。例えば電気使用量を前月比で25%減らすよう目標を設定し、それをオーバーした利用者にはペナルティとして割増料金(税)を課す、とでもしたら賢く良識ある国民はその人に合ったやり方で節電するはずです。いきなりの停電ではどうしようもありません。

 大地震、大津波、原発事故と今回の災害は神戸震災に比べトリプルの規模になりました。原発事故と停電に関し枝野官房長官がたびたび記者会見に応じていますが、まるで東電のスポークスマンの観があります。

 枝野氏が原発問題に対し不眠不休で奮闘していることはよく分かります。しかし目下の官房長官の急務は何万もの行方不明の人の捜索と50万の被災者救援に陣頭指揮を取ることではないでしょうか。

本誌:2011年3.28号 11ページ

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