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インタビュー・対談(株)中国銀行頭取 永島旭 氏

先発メリットを生かせ

  • (株)中国銀行頭取 永島旭 氏

外部コンサルで大胆に
窓販解禁と同時に参入

 ―新計画は今までのイメージからするとかなり大胆な内容ですね。

 私の提案で、計画の策定に当たり今回初めて外部コンサルタントを入れました。内部の人だけだと結局今までの延長線上の内容にしかなりませんからね。依頼先はボストンコンサルティンググループ(BCG)で、今までにない大胆な発想が出ることを期待したのです。実際彼らの提案には、各ブロックの権限をもっと強化し競わせる―といった、あまりに大胆過ぎてすぐには実行できないようなものもありました。それらを役員合宿で彼らと徹底的に討論したのです。さらに一般行員の意見も聞いて煮詰めていきました。おかげで今までとは随分違ったカラーを打ち出せたと思います。しかし、ただ大胆というのではだめで3年後に結果を出さないと…。数値目標のすべての項目をぜひとも達成したい。

 ―ボストンと言えば世界的なコンサルティング会社ですが…。

 BCGは大手の都銀や有力地銀にもコンサルに入っており、業界の最先端の情報を持っています。さらに海外の金融事情にも詳しい。それに対し当行では近隣地銀と情報交換するだけでしたので、BCGから教わることが多かったですね。

 ―新中期計画での重点事業は何ですか。

 第1に個人融資の強化です。その背景にはお金の流れの変化があります。以前は余裕資金があった個人が銀行に預金をし、それを企業融資や国債購入に回していた。ところが最近は企業でお金が余り逆に個人の貯蓄率が下がった。個人の方がお金を借りて使うという流れに変わったのです。また、当行はもともと企業融資が多く、他の地銀に比べ個人融資の比率が非常に低かった。私が頭取に就任してかなり増やしましたが、今後も中小零細企業向けとともに個人融資には力を入れます。

 ―具体的にどう進めますか。

 主力の住宅ローンでは、現在5つある住宅ローンセンターを14、15カ所にまで増設したい。そして、今は各営業店で扱っていますが、最終的に住宅ローン業務をセンターに集約します。そして、将来的にはセンターで住宅ローン以外の個人ローンも扱えるようになればと考えています。そのほか、消費者金融と初めて保証提携し無担保の消費者ローン「イザット」を発売しましたが、この分野も伸ばしたいですね。また、今まで遅れていたカード業務にも力を入れます。年内にはキャッシュカードとクレジットカードが一体となったカードを銀行本体で発行します。

 ―クレジットカードの銀行本体発行の狙いは何ですか。

 今までは子会社の中銀カード(株)(岡山市)で発行していたのですが、銀行本体で発行することで、顧客の情報が手に入ります。それによって顧客のニーズやライフスタイルに合わせた金融商品の提案が可能になるからです。銀行にとっても総合的な顧客管理が可能になります。中銀カードは保証業務のバックオフィスとして残しますが、販売・管理の人員も本体に移します。

 ―預かり資産営業にもかなり力を入れていますが…。

 預かり資産営業は当行が先行し力を入れてきたのですが、新計画でも重点事業として今まで以上に強化します。行員・スタッフも大きく動かします。まずはビジネススタッフと呼んでいるパートを400人採用、店内事務に配置します。そして、今まで店内事務に携わってきた行員、女子行員が多いのですが、彼女たちをトレーニングし預かり資産営業に回すのです。今までは行内では法人融資営業がエリート扱いだったのですが、今後は預かり資産など各分野で収益貢献度によって評価するようにし、専門性のある人を育てたいと思います。また、預かり資産営業は時代の流れで既に他行も取り組んでいますが、そこは先発のメリットでノウハウの蓄積が違います。さらに伸ばそうと思います。

 ―先発と言えば最近では証券仲介業への参入も早かったですね。

 解禁当初は多くの地銀が様子見という中で、当行では昨年12月の解禁と同時に参入しました。行員に証券外務員の資格を、仲介業を行う店舗の支店長には別に管理者の資格を取らせるなど、とにかく行内の準備が大変でした。今までの販売実績では、提携先のある証券会社からは「全国の提携地銀の中でも中銀はトップクラス」との評価を得ています。企業の直接金融の流れからみて証券仲介業はこれから期待できる分野ですので、まだまだ強化したい。

 ―12月から一時払い養老保険など新たな保険商品の銀行窓販解禁も控えていますが、どう対応しますか。

 もちろん解禁とともに始めます。今回も一部の地銀で様子見のところもあるようですが、当行は12月からやります。具体的な商品内容は現在生保会社で作成中でまだはっきりしませんが、行内では既に準備は進めています。証券仲介と同様に規制緩和でできるようになるサービス、業務についてはできるだけ先発でやろうという考えです。

 ―法人融資での戦略は。

 個人金融、預かり資産営業とともに、これも1つの柱として重点的に取り組みます。エリア的には岡山県内の基盤を守るとともに阪神、広島・備後の両翼市場、さらには香川県を含め県外の三翼市場に攻勢をかけ各地でシェアを伸ばしたい。また、企業の再生と創生支援も大きなテーマです。

 ―企業側のニーズも多様化しましたが…。

 法人営業は今までのように融資だけでは不十分です。問題解決型金融機関としてソリューションの提案をどしどしやっていきたい。実際に企業側からはビジネスマッチング、M&A、債権の流動化などの要望が結構あるのです。また、シンジケート・ローンの実績も何件かありますが、地銀の中では多い方だと思います。こうした投資銀行業務の分野も先行して取り組んでいきたい。投資銀行業務の手数料収入は現在3億円程度で、預かり資産営業の手数料収入に比べまだまだ少ないのですが、将来的には10億円以上にまで拡大したいですね。

 ―CSR(企業の社会的責任)を盛り込んでいるのも特徴ですね。

 代表幹事を務める(社)岡山経済同友会でもCSRをテーマに論議していますが、当行の中期計画でも今回初めて取り上げました。環境、コンプライアンス(法令遵守)に加え、広い意味での地域貢献を含めて進めていきます。環境対策では、本業を通じての貢献としてエコ私募債の受託を始めました。また、行内では紙使用量を抑えようと、取締役会、常務会では紙の資料作成を極力やめパソコン画面を見ての会議にしました。今後は電子稟議を始めようと思っています。個人情報保護の点からもぜひ進めたい。そのほか、岡山県少年サッカー5年生大会(10月~来年3月)にも協賛しサポートします。表彰式では私が優勝旗を授与します。

本誌:2005年10.3号 10ページ

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