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DVD時代

 1970年代半ばに公開されたイタリア映画「家族の肖像」は、巨匠ヴィスコンティ監督最晩年の傑作として、当時映画ファンの間で大変な人気を呼びました。主役はバート・ランカスター、シルバーナ・マンガーノ、ヘルムート・バーガー。イタリア映画であるにもかかわらずオリジナル言語は英語でした。

 このすばらしい作品に感銘を受けた私はすっかりのぼせあがって、こっそり映画館にテープレコーダーを持ち込みセリフを録音、そのあと何度も何度も聞き返してセリフを解読しようと試みたものです。

 しかし、どうしても何を言っているのか聞きとれない個所がたくさんあって、最後は東京の配給会社を訪ね、シナリオをコピーさせてもらいました。まったく若いときというのは何でもできてしまうものです。

 それからほどなくして映画作品がどんどんビデオ化され気軽にレコード店で買える時代がきました。私は「家族の肖像」のビデオを発売と同時に買い、次いでレーザーディスク(LD)が登場したらそれも買いました。

 そしてさらに歳月が流れ、今やDVD全盛時代。LDは早々と姿を消し、ビデオも静かに退場の時を迎えようとしています。

 DVDをビデオの延長線上で捉えている方も多いと思いますが、DVDのテクノロジーはビデオをはるかに超越しています。まず映像が鮮明、チャプター間の移動がワンタッチ、メイキングオブなど付録も充実。もちろん場所をとらないし、媒体の経年変化もビデオよりずっと安定していることでしょう。

 しかし何と言ってもうれしいのは洋画のDVDで、音声はオリジナルと吹き替えの両方が入っているし、字幕もオリジナル字幕と邦訳が自由に選べます。なかには音声は3カ国語、字幕は11カ国語から選択できるなどという夢のような作品も売られています。

セリフが早すぎて聞き取れないときは、一時停止してじっくり字幕を読んで理解し覚えてから聞くことも自由自在、しかも値段は映画館の入場料程度という安さです。

 わが人生で出会った最高傑作と信じている「家族の肖像」はなぜかなかなかDVD化されなかったのですが、昨年ついに発売されたようです。廃盤にならないうちに手に入れておかねばなりません。

 いい映画は青春時代、壮年期、中年から老年期と、いつもこちらにあわせて新鮮な魅力で迫ってくるといいます。DVD版オリジナル字幕付きの「家族の肖像」は今の私にどんな感動を与えてくれるか楽しみです。(康)

本誌:2004年2.21号 18ページ

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