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連載記事杉山慎策の経営学考察

国富論を読む16~資財(ストック)~

 アダム・スミスは、社会の富は「資財(ストック)」として蓄積され、それがどのように利用されるかによって経済の発展が決まると論じている。資財は個人、企業、国家が所有する財産であり、生産のために活用されるか、消費のために使われるかによって異なる役割を果たす。

 スミスは資財を大きく「維持資財」と「蓄積資財」に分類する。前者は食料や衣服など日々の消費のために使われるものであり、後者は農具や機械、建物など生産活動を支えるものである。

 さらに、蓄積資財は「不生産的資財」と「生産的資財」に分けられる。不生産的資財 は、贅沢品や嗜好品のように消費されると経済的な価値を生み出さないものと定義される。例えば、王侯貴族の贅沢品や芸術品などは直接的な生産には寄与しない。生産的資財 は、労働を雇用し、付加価値を生み出すために活用される資本(資本ストック)を指す。例えば、農業や工業のための設備や原材料は、生産の連鎖を生み出し、富を増やす。

 スミスは、経済の発展には 資本の蓄積が不可欠 であり、それを可能にするのが「節約」と「投資」であると述べている。

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本誌:2025年3月3日号 13ページ

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