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年末回顧新型コロナが直撃

多くの業種で売上激減 リーマン上回る危機に

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 新型コロナウイルス感染拡大で、岡山県内でも観光、製造、サービスなど広範囲に影響が及んだ。

宿泊・観光が大打撃

 特に宿泊・観光業はダイレクトに響き大きな打撃を受けた。不要不急の外出を控えることを求める緊急事態宣言で人の動きがほぼストップした際には、宴会場などを備えた総合型のシティホテルや観光客の割合が高いホテルを中心に複数の宿泊施設が休業を余儀なくされた。貸切バスも募集型のツアーや団体旅行がなくなったことで開店休業状態となった。

 宣言解除後、自治体主導の利用促進策などで幾分持ち直したかに見られたが、予算には限りがあり効果は短期間で終了。7月からの国の「Go Toトラベルキャンペーン」を待つことになるが、それでも当初は高額プランのあるホテルに需要が集中し、「岡山市応援旅 宿泊・グルメクーポン」などGo Toと組み合わせて使える自治体の支援策が実施されるまでは低価格帯のビジネスホテルは苦戦した。

 その間、4月には複数の旅館を経営する㈲トラベルシリウス(真庭市)が民事再生法の適用を申請、9月に岡山ロイヤルホテルが閉館するなど、廃業が相次いだ。

 11月時点では、マインドの改善もあり、宿泊稼働率は7~8割にまで回復しているが、前半の“負債”が大きく、さらにシティホテル型の宿泊施設では、稼ぎ頭の宴会がまだまだ低調なことから厳しい状況だ。

 そのほか、流通・サービス業関連では、緊急事態宣言下に百貨店、大型商業施設、遊園地などが臨時休業したほか、主要なイベントは3月以降軒並み中止となった。

世界的な需要減で生産休止

 3月以降新型コロナ感染拡大の影響で製造業のサプライチェーンが寸断、海外から部品が調達できなくなったほか、世界的な需要の低迷で、大手企業や地元企業の工場も一時生産を休止したほか、減産を余儀なくされた。

 三菱自動車工業㈱水島製作所(倉敷市)では3月下旬以降ラインの休止・再開を繰り返した。軽自動車は部品輸入ができず、普通車は世界的な需要低迷で輸出が落ち込んだため。これに伴い、地元の協力企業も生産休止、週4日のみの操業など減産に追い込まれた。

 鉄鋼業界ではJFEスチール㈱西日本製鉄所(倉敷地区)が4月末で第4高炉を休止した。自動車、造船などの不振で需要の低迷によるもの。もともと来年9月から全面改修での休止を計画していたが、コロナで前倒しした格好。改修以外での高炉休止はリーマンショックの09年以来の事態だ。

 地元勢でも、工作機械の需要が急減し㈱滝沢鉄工所(岡山市)では一時大幅な減産を強いられた。

 こうした背景から岡山県下の有効求人倍率も昨年は2倍を超えていたが、コロナ以降製造業を中心に求人数が急減、9月は1.38倍にまで下がった。

かつてない規模の支援策

 コロナ禍で経済活動に制限がかかりリーマンショックを上回る危機が懸念され、国など行政は企業に対しあの手この手のかつてない規模の支援策を打ち出した。

 資金繰り支援では、国は㈱日本政策金融公庫(東京都)、㈱商工組合中央金庫(同)など政府系金融機関を通して当初3年間実質無利子となる融資制度を創設した。これに対し企業からの申し込みが殺到したため、5月には民間金融機関も県の制度融資を使い実質無利子の融資の取り扱いを開始、受け付けの間口を広げた。各機関は担当部署以外の職員も動員し対応した。また、㈱中国銀行(岡山市)は10月にコロナ債100億円を発行し実質的に自己資本を増強、さらなる資金需要の増加に備えた。

 雇用対策では、休業手当の一部を国が補償する「雇用調整助成金」の適用要件を緩和した。もともと大手製造業を対象にした制度で助成金申請に不慣れな小規模事業者も多く、国は手続きを簡素化したほか、商工会議所、金融機関など申請手続きを支援した。

 そのほか、半年間の地代・家賃を補助する「家賃支援給付金」、幅広い用途に使える「持続化給付金(法人200万円、個人事業主100万円)」を設けたほか、個人への支援では一律10万円の「特別定額給付金」を創設するなど、ばらまきとも言える政策を相次ぎ打ち出した。
 
消費喚起キャンペーン続々

 コロナ禍で大きな打撃を受けた観光施設、土産店、飲食店を支援しようと、国、自治体は消費喚起に向けさまざまなキャンペーンを展開した。

 観光振興策の「GoToトラベルキャンペーン」のほか、飲食店支援では、「GoToイートキャンペーン」岡山県版のプレミアム付食事券の販売が10月21日に始まった。2500円を上乗せした1冊1万円の商品券を全80万冊のうち20万冊を用意、百貨店、主要スーパー、JAなどで売ったが初日にほぼ完売となるほどの盛況ぶりだった。

 夏以降飲食店など廃業の動きが広がっているが、こうした官民挙げての支援策で当初懸念されたよりはコロナでの倒産は少ない。しかし、11月以降の第3波の到来で再度自粛の動きが広がれば経済にはマイナス。さらにコロナ禍が長期化すれば国や自治体の財源の問題から支援策にも限界があり予断を許さない状況だ。

 多くの業界でコロナによる打撃を受けたが、一方で好調な分野もあり、インテリア、がん具など巣ごもり関連の商品は好調に売れた。業態別ではスーパー、ホームセンターなどで来店客が増えた。

リモートワーク普及

 コロナはビジネスのあり方を変えつつある。感染防止の取り組みとして、一気に広がったのがリモートワーク。緊急事態宣言下で在宅勤務を選択する企業が増加し、「働き方改革に積極的な首都圏の大企業やIT企業だけのもの」という認識から現実的なものとなった。

 岡山県中小企業家同友会が6~7月に実施した調査では、有効回答140社のうち、25%が感染拡大をきっかけに導入したとしており、急激に普及したことを示した。

 一方、導入支援事業者によると、生産性の向上や育児、介護などを踏まえルールや評価制度などを作り込んで導入した企業の多くが緊急事態宣言解除後も制度を継続しているのに対し、感染対策としてのみ導入した企業では生産性の低下などから、すでに放棄しているという。

 それでも、新型コロナ感染拡大により従業員、取引先などの理解が進んだことで、今後も導入しやすい状況に変わりはない。国の支援策も計画されていることから働き方改革としてのテレワーク導入への足掛かりとなったことは確実だ。

本誌:2020年12月7・14日号 4ページ

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