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連載記事マネーの道しるべ 70

賢者は歴史から学ぶ

  • 森康彰氏

 今年8月、コロナ禍の影響で解雇された生活困窮者が福岡県福岡市で起こした恐喝事件。カッターナイフを持って店に入り、お金を要求したもののすぐに自首したそうです。10月の自殺者数で女性は、対前年8割も増加。岡山県内でも、商店街や幹線道路沿いで空き店舗が目立ってきました。医療従事者は、コロナに対し最前線で戦い続けているのに、ボーナスを40%もカットされるとか。

 そんな状況にもかかわらず、国会では桜を見る会の問題を蒸し返し、コロナ対策は棚上げで解散総選挙への対策で盛り上がる。テレビを見れば、タレントが飲食店訪問を繰り返し、日経平均株価が29年ぶりの高値を付けたと沸いています。テレビによる情報だけでは、なかなかコロナ禍の惨状を知ることはできません。この現状に、スコットランド出身の歴史学者、ニアール・ファーガソン氏は「サラエボ事件が起きた当時、第一次世界大戦が始まるなどだれも思っていなかった。今回のパンデミックも米中の溝が深まることを警戒しなくてはいけない」と、警鐘を鳴らしています。

 正確に現状把握することが難しくなっていますが、愚者は経験から学ぶと言われるように、自分自身の肌感覚だけでは判断を誤ってしまいます。ただ、マスメディアやSNSを使っても、自分たちの地域の現状さえ把握することができません。私たちは、隣に困っている人がいれば手を差し伸べることができますが、その現状を知らなければ何もできません。現在、国内は東日本大震災の時以上の社会危機にもかかわらず、他人事のように日常が過ぎています。私たちが抱える社会問題の一つが、そこにあるのではないでしょうか。

●森康彰●2年間、保険代理店に勤めた後、2008年に保険コンサル会社㈲e.K.コンサルタントを設立。2014年に東京支社を設けるなど、首都圏へも業務を拡大中。 敬愛する人物は、稲森和夫、立川談志。

本誌:2020年12月7・14日号 11ページ

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