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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

晩秋の大阪日帰り旅行

 2月以来9カ月ぶりに大阪まで日帰りで出かけました。コロナが再び増加に転じる中、大都市に行くのは正直怖かったのですが、あまりにも長い間、岡山という安全地帯に閉じこもっていては息が詰まるという思いもあって、大した用事もないのにとにかく大阪に行ってくること自体を目的に出かけてみました。

 久しぶりに乗った新幹線のぞみ号で小さな変化に気づきました。今までは英語のアナウンスは女性の声の録音が流されているだけでしたが、今回初めて肉声による英語アナウンスを聞きました。乗車したのぞみは福山と岡山の間で減速したので岡山駅を3分遅れで発車したことをお詫びする、という突発的な内容のアナウンスが日本語に続いて英語でもなされ、これは録音ではないと思った次第です。

 大阪駅で地下鉄に乗り換えのですが、平日の昼間とはいえ車内ががら空きだったのは驚きでした。心斎橋で電車を降りて道頓堀まで歩いてみて街に人が少ないのにはびっくり。立ち並ぶブランドショップにお客の人影はなく歩道からでも所在なげに立ちつくす店員の姿がよく見えます。ここ数年のミナミは歩道の上はもちろんあらゆる種類の店は面的、立体的に人であふれかえり、身動きならなかったというのに……。

 せっかく大阪まで来たので、昔の職場の後輩君を呼び出して千日前の丸福珈琲店で落ち合いました。丸福は昭和9年創業の、大阪を代表する老舗カフェで、ここにはなにわの雰囲気が10年1日のごとくいまだ色濃く残っています。赤や青の派手なジャケットを着た老人がひとり競馬新聞なんかを読みふけっているところなど何やらパリのカフェを彷彿とさせるものがあり、こういう景色だけはいつまでも変わってほしくないものです。

 結局大阪では丸福で濃いブレンドコーヒーを2杯飲んだだけで友人とは人気のなくなった黒門市場を散策して分かれました。友人は安倍元総理を苦しめた潰瘍性大腸炎で腸が詰まり食事ができない状態がもう3日も続き食事どころではないのに、本人はもう慣れっこの様子。見るからに痛々しいのですが治療方法がない故の難病人生です。コロナが終わったらまたヨーロッパかタイに遊びに行こう、とあまり現実感のない約束をして新大阪駅へ向かいました。

本誌:2020年11月16日号 28ページ

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