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連載記事なんでもQ&A[知的財産]

図面を無視した拒絶理由

 Q 弊社は、うどん麺の製造装置に関する特許出願をしております。この製造装置は、長年かかって弊社がやっと開発したもので、これまでのうどん麺製造装置には見られない斬新な工夫がされています。これらの工夫点は出願の際に提出した図面に詳しく説明しています。ところが、新規性がないとの拒絶理由通知が先日届きました。この拒絶理由通知は、従来のごくありふれた麺製造装置と弊社装置とに違いがないというもので、図面に表した工夫点が全く考慮されていませんが…。

 A 貴社が長年かかって開発した麺製造装置に係る特許出願に対し、拒絶理由が通知されたとのことですので、さぞかしがっかりなさったことと存じます。

 特許審査において特許庁審査官は、特許請求の範囲の請求項に記載の発明(以下「請求項発明」)と、出願前から知られていた先行技術(引用発明)とを対比し、請求項発明と引用発明との間に相違点があるか否かを判断します。審査官は、これらの間に相違点があれば請求項発明が新規性(発明が新しいこと)を有していると判断し、相違点がなければ請求項発明が新規性を有していないと判断します。つまり、新規性についての判断は、請求項の記載に基づくものであり、図面のみに記載された事項は考慮されません(実務上、最も問題となる進歩性についても同様です。)。

 ご相談の件で、審査において貴社装置の工夫点が考慮されず、従来のありふれた麺製造装置と、斬新な工夫をした貴社装置と、に違いがないと判断されていることからは、貴社特許出願の請求項に工夫点が表現されていないことはありませんでしょうか。上の通り、いくら詳しく工夫点を図面に表現していても、図面のみに記載され請求項に記載されていない事項は新規性の判断には考慮されませんので、その可能性が高いのではないかと存じます。

 この点をご確認いただき、そうであれば、図面にて説明している工夫点を請求項に表すことをご検討ください。ただ、工夫点を請求項に加えることは、その工夫点を権利の必須事項としますので、取得する特許権の範囲を狭くすることになります。このため特許を取得できることと共に、取得する特許権が貴社にとって魅力的なものになるよう注意深くご検討ください。

本誌:2020年7月13日号 25ページ

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