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連載記事なんでもQ&A[知的財産]

複数者に提供されるデータ

 Q 複数者に提供や共有され利活用されるデータの新しい保護制度が始まるのですか。

 A IoT、AI及びビッグデータ等といった情報技術が、産業の重要な要素となりつつある昨今においては、これらの情報技術に使用するデータの価値が増大しています。しかし、秘密管理を要件とする不正競争防止法における営業秘密や、著作物であることを要件とする著作権といった従来からの制度では、複数者に提供や共有され利活用されるデータは、価値あるものであっても、これらの要件を満たさないため保護が受けられないことがありました。

 そこで、複数者に提供や共有され利活用され、一定の要件を満たしたデータを「限定提供データ」とし、この不正取得や使用等を不正競争行為として差止や損害賠償(刑事措置はなし)が認められるよう、昨年、不正競争防止法が改正され、今年7月から施行されます。

 限定提供データは、商品として広く提供されるデータや、コンソーシアム内で共有されるデータなど、事業者等が取引等を通じて第三者に提供するデータを念頭とし、限定提供性、相当蓄積性及び電磁的管理性が要求されます。

 限定提供性は、業として特定の者に提供する情報であることをいい、一定の条件の下で相手方を特定して提供されるデータを対象とします。このため相手方を特定・限定せずに無償で広く提供されるデータは対象となりません。

 相当蓄積性は、電磁的方法により相当量蓄積されていることをいい、社会通念上、電磁的方法により蓄積されることによって価値を有するものを対象とします。例えば、分析・解析に労力・時間・費用等を投じて作成した、特定のプログラムを実行させるために必要なデータの集合物はこれを満たすものと考えられます。

 電磁的管理性は、特定の者に対してのみ提供するものとして管理するという保有者の意思を第三者が認識できるようにされていることを要し、通常、データ保有者から提供を受けた者(特定の者)以外の者がデータにアクセスできないようにするアクセス制限技術(通常はユーザー認証)が施されることです。

 このような限定提供データの保護により、安心したデータの利活用が促進されるものと期待されます。

本誌:2019年6月10日号 22ページ

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