WEB VISION OKAYAMA

連載記事山田響子の魅力を引き出すコミュニケーション術

選ばれる人、選ばれない人の違い

 選ばれる人、選ばれない人の違いはなんだろう。たくさんの個人起業家の方と触れながら感じていることを今回はお伝えしていきたいと思います。

 「言葉の力で影響力をアップする」ということを、講座や個人セッションでお伝えしている私の元には、「自分の名前」で自立し、伝えたいことを伝えることでビジネスをしたい方々が相談に訪れてくれます。「伝えたいことが、伝えられない」には、段階があります。デリバリーと呼ばれる、「伝える」の最終段階。表現方法や、声の出し方、といったパフォーマンス部分に課題を感じていると受講動機を語ってくださる方が多いのですが、表現方法だけを磨いてもうまくいきません。

 まず、言いたいことが整理され、言語化できているかということが、とても大切です。考えていること、感じていること。それが言葉にならないということが問題なのです。伝えることが下手な方は、長くしゃべって言葉の数で補おうとすることがあります。

 実は話が下手な人の方が長くしゃべる、というのは驚くかもしれませんが、事実です。伝えることが上手い人は、短的に表現することができます。あなたが取り扱っているサービスや製品に対して、「それってなんですか」「他にも似たようなものがありますが、どこが違うのですか」と言われた時に、15~30秒程度で端的に説明できるように準備しておく必要があります。

 そんなに短い時間では伝えられないくらい、たくさんの魅力があるのだと思います。でも多くの場合、説明し続ける方の話に、途中で興味がなくなってきてしまって、「へ~、凄いですね。~なるほどね~」と言いながら、心の中で「早く終わらないかな」と思っていたりします。きっと、あなたにもそんな経験があるのではないでしょうか。

 まずはたくさんある魅力や特徴を「端的に言うと」「つまりどういうこと」と自分に問い掛けながら言葉を絞り込んでみてください。この絞り込んでいく過程の中で、本当に伝えたいこと、伝えなければならないことが磨かれていくのです。

 15~30秒で端的に表現して、相手から「もっと詳しく教えてください」「それは興味深いですね」という反応があった時、さらに伝えることができます。そのあとも一方的にしゃべりすぎないように、相手の反応を通じて「さらに続けて伝えることの許可」をいただきながら話し進めるのです。これはプレゼンテーションやスピーチのように、一人で大勢の人に向かって話す時でも同じです。とにかくあれもこれも言っておかなくてはと言葉の数を増やすよりも、端的に言うとどう言えるだろう?と言葉を絞り込んでいくという姿勢を忘れないでほしいのです。

 15秒から30秒の表現は、一つと決める必要はありません。むしろ、相手や状況に合わせて変化させる必要があります。あれもこれも伝えたい、と思うその要素を、1つずつ端的に表現できるように言葉を用意しておきましょう。その端的に表現するために、削り取っていく作業の中から、本当に伝えたい思いが見つかり言葉に深さが生まれる。だから伝わるし、人を動かすことができるのです。

 伝える力を研究する上で欠かせない存在の方は、衆議院議員の小泉進次郎さんです。小泉進次郎さんが2016年に開催された「ビジョンを伝える言葉の力」というテーマの講演の中で、大学生たちに向けて、「伝わるメッセージの本質」と話したのは「言葉に体温と体重を乗せる」ということでした。それは「こう言っておけば外さないかな」という借り物の言葉ではなくて、自分の思いが言葉に込められていると、その発せられた言葉には、重さと熱量があるということです。

 熱量は熱すぎても受け止められないし、冷たすぎると人の心を動かすことができない。まさに体温のような温度であること。そして、自分の思いが乗った言葉には、受け止めた側に重みが伝わります。借り物の言葉は、言葉としていいことを言っていても薄っぺらく軽いのです。

本誌:2018年9月10日号 15ページ

PAGETOP