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連載記事岡山消費者動向分析

「鰻」事情

 日本文化研究所のブログによると「土用」とは中国から輸入された二十四節季では言い表せない日本の季節の移り変わりを表すために生まれた雑節の一つで、春夏秋冬にある。立春、立夏、立秋、立冬のそれぞれの直前の大体18日間を指す。土用は丑の日と連想されて、夏の時期を表すと考えていた人も多いのではないだろうか。2018年の夏の土用は7月20日から8月6日までを指す。今年の丑の日は7月20日(金)と8月1日(水)の2日間が「土用の丑の日」となる。

 何故日本人は「鰻」を食べるようになったのだろうか。万葉集にも「鰻」が健康によいという歌が詠まれているようであるが、実際に「土用の丑の日」に「鰻」を食べることを定着させたのは江戸時代の平賀源内と言われている。売れない鰻屋が平賀先生に相談したところ「本日土用の丑の日」という看板を店の前に出すことを提案された。一体この看板はどんな意味があるのか江戸市民は興味を抱くことになった。結果、多くの人が押しかけてくるようになった。それ以来日本人は「土用の丑の日」には「鰻」を食べるようになった。丑の「う」から「鰻」の「う」を連想したようである。平賀先生は素晴らしいコピーライターである。18世紀後半から広がったと考えれば「土用の丑の日」の「鰻」を食べる習慣は250年近くの歴史があることになる。本稿では岡山の「鰻」事情について述べる。

 「鰻」が好きなのは岡山78.7%、全国85.9%と、岡山は全国に比べて若干少ない結果となった。食する頻度も「2~3週間に1回以上」で見ると、岡山6.4%、全国21%と差がついていて、岡山は「鰻好き」の地域ではないようである。また、家計調査によれば、ウナギのかば焼きの消費額も、全国平均の2617円に対して岡山市2235円で、岡山の一般生活者は全国と比べて「鰻」の消費は少ない。当然のことかもしれないが、一番多いのはやはり浜松市の6311円である。

 「土用の丑の日」(当日・前後含む)に「鰻」を食べたいと考えているのは岡山63.7%、全国79.6%と、「土用の丑の日」に「鰻」を食する意向も全国と比べて低い結果となった。

 「土用の丑の日」に「鰻」を食べたい理由は、岡山では「夏の恒例行事として」49.6%、「夏に向けてスタミナをつけたいから」42.3%と続く。一方全国は「鰻が好きだから」66.6%。「土用の日」に「鰻」を食する理由からも、全国と比べて岡山での「鰻」の人気は少し劣る。

 「土用の日」に「鰻」を食べたい場所については、「スーパーやコンビニなどで買って自宅で食べる」が最も多く、岡山76.6%、全国61.5%である。専門店や飲食店で外食するよりも、家で食べるのが「土用の丑の日」の「鰻」で、その内食傾向は岡山は全国と比べて高い。岡山の堅実な県民性はここにも垣間見られる。

 岡山は恐らく「鰻」を食べる文化は高くない。多くの日本文化がマスメディアの浸透で段々と統一されていく中で、食文化は一番土着性が高く、地域の特色が残っていると考えられる。岡山は「鰻」文化圏には属さないと言えるのではないだろうか。

本誌:2018年7月16日号 9ページ

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