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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

日大アメフト反則事件

 今回の大学アメフト反則事件のような胸くそ悪い話は聞いたことがありません。日大の監督やコーチ、それに大学の首脳陣は双方の学生の命と尊厳をどのように考えているのでしょうか?日大監督の記者会見を聞いていると、彼らは父兄からお預かりさせていただいているはずの大切な学生をボロ雑巾くらいにしか考えていないことがよく分かりました。

 そんな救い難い卑怯な大人たちに対し、反則プレーをしてしまった宮川選手の会見は涙を誘うほど感動的でした。犯したことに対する罰は受けなければならないのは当然ですが、彼は心から謝罪し、関学のQBも謝罪を受け入れているようです。宮川君の罪はすでに購(あがな)われているではないか、そんなふうに思います。

 日本社会の上層部の倫理観がいかに低下しているかを象徴してような今回の出来事に接し、私は満州事変から敗戦までに幾多の若者が国家のために捨てゴマにされた父の世代のことが脳裏に浮かびました。私はそんな父の時代より一世代後のベビーブームのど真ん中に生まれ、戦後の自由でおおらか、理想主義がうたわれた時代に育ちました。ところがそんな我々世代もいつの間にか年を取り、会社や組織のトップになって、蓄財と保身に明け暮れ下の世代に理不尽な圧力をかけているのを見ると本当に恥ずかしくなります。

 私立大学は定年が75歳くらいのところが多く、そのことも日大のみならず多くの私大の劣化の要因になっていることが今回の事件によって見えてきました。経済界や政界は、成果を出し、また選挙という洗礼を受けなければならないので無能な老人が居座り続けることは困難です。それに対し、天下り官僚が理事になっている財団法人や私大経営陣には歯止めというものがありません。日本の構造的な闇が浮かび上がったような事件であるような気がしてなりません。

 反則タックルを受けた関西学院の選手に後遺症が出ないこと、日大の宮川君がこの試練を乗り越えて心穏やかに普通の青春を取り戻せる日がくることを心から祈ります。若者には希望があります。

本誌:2018年6月4日号 18ページ

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