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プレイバックおかやま経済

1967年の経済ニュース

 週刊VISION岡山のアーカイブサービス公開に先立ちスタートした「プレイバックおかやま経済」。4回目の今回は1967年にフォーカスします。第1号高炉の火入れ式を行い、銑鋼一貫生産体制に突入した川崎製鉄㈱水島製鉄所工場長や当時岡山県商工部長でその後自治事務次官、内閣官房副長官として活躍した石原信雄氏のインタビュー、同年予備免許が交付されたOHK開局をめぐる舞台裏などの記事が目を引きます。

①県下輸出実績 水島の発展が大きく寄与

 「1966年の岡山県下輸出実績をみると、大きな比重を占める三井造船㈱玉野造船所の新造船が千葉造船所へ移行するといった内部事情もあって総額では前年よりやや下回ったが、水島地区の本格操業に伴い、内容的には化学油脂部門をトップに好調な伸び率を示した」(3月21日号12ページ掲載)

 ◆66年の県下輸出総額は533億1869万円で前年比2.5%減だが、造船を除けば24.4%増。工作機械や水島への外国船入港増、大型化による補給用油の増加など、水島の発展が県産業の構造を大きく変え始めた状況を伝えている。

②水島に“世紀の火” 銑鋼一貫生産開始

 「川崎製鉄㈱(現JFEスチール㈱)が、水島製鉄所に建設していた第1号高炉は4月18日、待望の火入れ式を迎え、これまでの稼働設備を合わせて、いよいよ銑鋼一貫生産体制に入った」(4月21日号2ページ掲載)

 ◆第1号高炉は炉床径10m、炉内容積は2156立方メートルで、2カ所に出銑口を持ち、銑鉄日産4500t。「世界をめざす製鉄所」のキャッチフレーズで61年に誘致された同製鉄所は、水島コンビナートを代表する企業として県産業の発展に大きく寄与した。

③地場産業の育成に本腰を―岡山県商工部長 石原信雄氏

 「川崎製鉄水島製作所の本格操業に伴い、水島工業地帯は第2発展期に入り、関連地場企業の育成にも大きな期待が持たれている。自治省財政畑のベテランだった岡山県の新しい商工部長、石原信雄氏を訪ね、今後の県商工行政の抱負などを聞いた」(5月1日号5ページ掲載)

 ◆自治事務次官などを経て、竹下内閣など7人の首相の下で事務方トップの官房副長官を務めた石原信雄氏は、この年から3年岡山県庁に出向した。赴任早々のインタビューでは、「大企業の誘致と地場産業の育成の“両面作戦”を進めていく」と抱負を語っている。

④両備がスーパー部門へ本格進出

 「両備観光㈱は、昨年12月にオープンした西大寺バスターミナルと、今年4月にオープンの玉島バスターミナルにいずれもスーパーを併設。年内を目標に岡山、倉敷両市にスーパーを新設する計画を進めており、スーパー部門へ本格的に進出することになった」(5月11日号3ページ掲載)

 ◆年間10億円の売上高目標掲げスーパー経営に本格参入した同社はその後店舗網を拡大し、現在4ブランドで14店舗を展開している。5月21号では、「県外資本に対抗するためには、やはり県内資本でブランクを埋め、交通革命に伴う京阪神の攻撃にいまから手を打たねば」と、出店戦略を語る当時両備バス専務だった故・松田堯氏のコメントを紹介している。

⑤“建設ブーム”到来か 山陽新幹線工事の影響

 「岡山県経済と京阪神経済との時間的距離を3分の1に縮める山陽新幹線の建設工事は、帆坂トンネルの着工、新岡山駅の落札でいよいよ本格化。用地買収交渉も着々と進められており、この大工事をきっかけに、県下に“建設ブーム”が到来しようとしている」(6月1日号10ページ掲載)

 ◆1972年の山陽新幹線岡山開業に向け、建設工事が急ピッチ。岡山県内に投入される約400億円の県経済への影響などを分析している。新幹線関係が大手に限られる中、県内業者に発注される中小工事の動向、生コン工場の増設、求人増、地権者からの預金獲得合戦など活況を呈す当時の状況をうかがわせている。

⑥トヨタパブリカが新社屋を建設

 「トヨタパブリカ岡山㈱は、業務の拡大に伴い、同社大供中古車センター跡に、新社屋を建設している。新社屋完成後、岡山市西長瀬の現社屋は整備工場として充実を図る計画」(6月1日号17ページ掲載)

 ◆トヨタパブリカ岡山(現在のトヨタカローラ岡山㈱)は1962年設立。パブリカは国の国民車構想を受けて開発されたトヨタ初の大衆車で、同社の最小車種に位置づけられた。前年秋にカローラが登場し、マイカー時代の到来とともに同社は業績を拡大、69年にはトヨタカローラ岡山㈱に社名を変更した。

⑦天満屋倉敷店が7月1日に開店

 「㈱天満屋の倉敷店の増改築工事が近く完成、7月1日から開店の運びとなった。3市合併によって大きくなった新倉敷市にふさわしい店舗となる」(6月21日3ページ掲載)

 ◆店舗規模は約2倍に拡張。家具部門が新たに加わり、婦人服のオーダーなど各部門を一層充実する方針が紹介されている。その後、倉敷店は三越倉敷店跡に2008年3月移転し、“街の顔”として市民に親しまれている。

⑧大詰めにきたテレビ免許問題

 「岡山県に民間テレビ局を1局増設しようという問題は、1964年から65年にかけて相次ぎ3社が名乗りを上げ、免許獲得をめぐって裏面工作にしのぎを削ってきたが、いよいよこの秋には決着がつけられる見通しとなった。ところがこの大詰めの段階を迎えてさらに1社が免許申請を出しバックとなる地元財界に分裂をも招く恐れが出てきている」(8月11日号12ページ、11月11日号10ページ掲載)

 ◆地元政財界を巻き込んだ4社による新テレビ局開設をめぐる騒動のレポート。一本化を望む旧郵政省に対し4社の綱引きは激化の一途をたどり、最終的に大臣裁定の結果、現在のOHKの設立がようやく決まり、69年4月に開局した。

⑨ナカシマプロペラに社名を変更

 「中島鋳工業㈱は、東岡山工場内に本社事務所および全設備を移転し、11月1日から社名をナカシマプロペラ㈱に変更する」(10月11日号4ページ掲載)

 ◆東岡山工場はもともと大型プロペラ専門工場だったが、中島田の本社工場が手狭になり、中・小型プロペラ工場などを移転。生産能力は2倍の月産400tになった。現在は世界屈指のプロペラメーカーとして飛躍し、海外にも積極的に生産拠点を拡大している。

⑩岡山商議所の議員改選 会頭問題も注目の的

 「岡山商工会議所議員の改選が来年初めに行われるが、早くも“事前運動”の委任状集めが活発。会頭人事では数人がうわさに上っているがなかなか決定的な線は出ず、副会頭の人選ともからんで難航も予想されている」(10月11日号14ページ掲載)

 ◆当時は1月に行われていた議員選挙(定数70)の委任状集めの様子を取り上げた記事。会頭人事では手術から間もない工藤恒四郎氏が任期いっぱいで退任し、後継候補として梶谷忠二氏(岡山パン製造㈱社長)らの名前が上がっていると伝えており、翌年には予想通り梶谷氏が就任。岡山商工会議所ビルの建設などを成し遂げた。

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本誌:2018年3月26日号 8ページ

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