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マンションの鳩

 私が住んでいるマンションの管理組合から鳩の害に関するアンケート用紙が配られました。鳩が建物の北面にある廊下にまで侵入してくるので階段室を含め廊下側に鳩よけのネットを張ることについて、住人の賛否を問う内容です。総工費90万円は修繕積立金から支出するとも書かれていました。

 「大した被害があるわけでもないのに不細工なうえ意地悪いネットなんか!」というのが私の実感。それに簡単なネットを張るだけの工事費が90万円とは高過ぎやしないか?という疑問もあり、賛否欄には否に丸をつけ、その理由として「鳩は平和の象徴だから(そんなことをしてはかわいそうではないか)」と我ながら訳の分からないことを書き記して提出しました。

 その後アンケートの結果が公表され、ネット設置が決定したことが報告されていました。「鳩は平和の象徴だから」という私の少々いかれた反対意見も白日にさらされてしまいました。そしてまもなくネットが張り巡らされ、鳩が入ってくるのはピタッとやみました。まあよかった!

 ところがある日の昼下がり、和室でくつろいでいたら「グルグル、クックー」といやな声がすぐ近くから聞こえます。ガラス越しに外を見たら何と鳩のカップルがベランダの手すりに止まって機嫌良く鳴いているのです。ベランダには鳩のフンが散乱し強烈な悪臭が……。何のことはない、廊下に入って来れなくなった鳩が住戸のベランダ側に回っただけなのです。そして私は初めて鳩がもたらす公害の実体を知りました。

 エアコンの室外機と壁の間にはすでに小枝がいっぱい。どうやらそこを愛の巣にしようという魂胆がありあり。私はあわててベランダの手すりに両面テープを張り、室外機を網で覆いました。作業中、鳩のカップルは隣の戸建て住宅の2階の屋根からこちらをじっと監視していました。

 結果、いやがらせ作戦が功を奏して鳩のカップルは来なくなりました。ちょっとかわいそうだったかなと思ったのですが、鳩もなかなかしぶとい。今まで糞害のなかった駐車場に泊められた車の屋根全面にもこもこフンが落ちています。私の駐車スペースでなくてよかった!(と密かににっこり)。見よ、90万円をかけて糞害が拡大しただけ。あんな賢い鳥を追っ払うことなど不可能です。

本誌:2017年11.20号 18ページ

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