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20年ぶりのカナダ訪問(6)

 カナダの親戚縁者の中にレスリーとマイケルという40代後半の双子がいます。姉のレスリーは若いころ英語教師として鳥取県の米子に1年間滞在したこともあります。帰国後は企業コンサルタントとして活躍し、ごく最近牧畜業をしているクレイグという日系人と結婚しました。お互い再婚同士で亭主には前妻との間に3人の子どもがいて、そのうち末子のブロディ君は親の新婚家庭に同居しています。アルバイトをしながらいい就職口を探している青年です。

 レスリーたちの新居はプールとかテニスコートこそないもののまさに豪邸。その大きな家の中にブロディの部屋があるのですが、レスリーは私にこんなことを言いました。「ブロディはいま職探しをしているが、私は彼から家賃をもらおうと思う。もちろんそのお金は彼の将来のために積み立ててやるつもりだけど」。

 「いくら義理とはいえ、職探し中の息子から家賃を取るつもりか?」というのが私の率直な感想でしたが、そのあたりに万事ゆるゆるの日本と違ってお互いの自立を大切にするカナダ流の考えがあると感じました。これはカナダに限らずほとんどの外国で共通の発想法でしょう。レスリーによるとその新築豪邸は自分と夫のクレイグが折半して購入したそうで、それぞれの共有財産という観念が強いようです。したがってすでに成人に達した子どもが居候するのはかまわないが家賃は当然発生する、ということになるのでしょうね。

 さてレスリーの双子の弟マイケルには軽い発達障害があるのですが、ちゃんと大手のレストランで働いて自立しています。彼の家も見せてもらいました。約100㎡はあろうかという一人で生活するのにはもったいないような部屋です。えんじ色にこだわりがあるとかでインテリアのすべてがえんじを基調としています。

 そんなマイケルの家ですが、実はこれは姉のレスリーが所有している物件で、彼女は弟に光熱費込み月1000ドルで貸していると言っていました。これは当然のことでしょう。

 今回の旅ではカナダのいろんな側面を垣間見ることができましたが、“すべての人がその能力に応じてきちんと生活できる社会”これこそカナダの強みだとの思いがいっそう強くなりました。とまれ、20年ぶりのカナダ旅行のご報告はこの辺りでひとまず終わりにしたいと思います。

本誌:2017年11.6号 17ページ

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