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20年ぶりのカナダ訪問(5)

 アルバータ州カルガリーはロッキー山脈を西に望む大平原のど真ん中にできた都市です。町の真ん中をボウ川が流れています。バンフ国立公園に源を発するこの川はマリリン・モンローの名画、「帰らざる河」のロケが行われたことでも有名。またこのあたり一帯は恐竜の化石が大量に出る場所として世界的に有名です。

 カルガリーの主要産業は石油、天然ガスの採掘、精製関連事業でカナダ全体の9割を生産し、豊富な富をアルバータ州にもたらしています。

 面積的にいうと、カルガリーの市域は726平方キロメートルもありこれは東京23区より100平方キロメートルも広く、そこに約100万人が住んでいるだけなので、住宅地の価格は日本とは比べることができないくらい安く、家を建てる人は資金のほとんどすべてを家屋そのものと立派な設備、家具等につぎ込むことができます。

 道路と住宅に関しては、日本は私権が強く歴史と伝統でがんじがらめ、行政もなかなか機能しない現状をカナダと比較しても仕方ありません。逆に日本の方がいいなと思ったのは医療です。アメリカ合衆国と異なり、カナダではメディケアと呼ばれる国民皆保険制度があり、原則として患者の自己負担なく医療が受けられることになっています。これだけ聞くと日本よりすばらしいように思えますが、歯科治療は対象外であったり実際はなかなか大変なようです。

 従姉のヨリコは80歳に近いのですが、長い間白内障に苦しんでいます。日本では白内障など眼科を受診して1週間もしないうちに手術を受けることができるでしょう。ところがカナダではこれが1年超待ちなのです。老後の貴重な1年を目がよく見えない状態で暮らすのは大きな損失です。なぜこんなことになるのかと言えば、どうやら政府による医療費削減政策が主因らしいです。

 これは救急医療でも同じことで、救急車で病院に運ばれても8時間もストレッチャーに乗せられたまま廊下で待たされているうちに直ってしまい、診察は受けずに帰宅したなどという笑えない話もあります。

 日本でも首都圏では病院不足でせっかく早期がんが見つかっても専門病院での治療開始まで3カ月待ちなどという話を聞きますが、こと医療に関しては日本のしかも大病院が林立するこのふるさと岡山で老後を迎えていることに安らぎを覚えます。(続く)

本誌:2017年10.30号 13ページ

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