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晩生の高級桃「恵白」

 岡山を代表する果物としてマスカットと清水白桃がつとに有名です。実際食べるたびにしみじみ、懐かしい気分に襲われ、有無言わさぬ味には何か絶対というか究極の完成度の高さを感じます。ところが人間の舌ほどぜいたくでわがまま、足を知らないものはないと思います。

 店先に並ぶマスカットを見ても知り尽くした味には驚きと感動を覚えなくなりました。清水白桃はジューシー過ぎて不作法な食べ方しかできません。それに出回る期間が短かすぎ、あっという間に長野県あたりから来る赤色系統のたくましい桃に置き換わります。

 私は桃をゆっくり食べたい!桃のシーズンが終わった秋の初めころに。そんな私の願いを今までかなえてくれていたのは黄色の果皮が美しい黄金桃でした。そこに最近「恵白」(めぐみはく)という白色の果皮で1個400gもある大玉の桃が加わりました。倉敷市玉島の特産で「高糖度、大玉の幻の超高級桃」のふれこみで東京でもデビューしているようです。

 岡山駅前のデパートで見かけたときはけっこうな値段だったのであきらめ、その後JAの直売所に出品されていたのを買って食べてみました。すばらしい。何よりもソフトボールぐらいある大きさ、芳醇な果肉、馥郁たる香り、ややサクッとした歯触り……言うことなしの新品種です。強いて難点をあげるとしたら「恵白」(めぐみはく)というネーミング。あえて“湯桶読み”するのには何か品種を登録した人の思いがあるのでしょうか。私は本稿を書くまで「ケイハク」と読んでいました。

 ちなみに恵白の親は千曲白鳳と川中島白桃です。どちらも信州を代表する桃ですが、白桃王国の岡山ではあまり人気がありません。ところが倉敷市玉島の中塚さんという方が中心になって品種登録をしたそうで、岡山県民の嗜好に合う白桃に仕立て上げたのですから大したものです。

 今年は夏中、軽めの糖質制限ダイエットをし体重も順調に減りましたが、果物を食べるのはなるべく控えました。その反動からか今頃になって桃だけでなくスイカが無性に食べたくなり、一人暮らしなのに8㎏もある北海道産のスイカを買いました。北国の水と太陽に育てられたスイカは絶品です。遅くくるものには先魁にない味わいがありました。

本誌:2017年9.18号 15ページ

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