WEB VISION OKAYAMA

連載記事

日光浴をするカメに思う

 そよ風に誘われて健康のため自転車で遠出することが多くなりました。幹線道路を避け、生活道路や農道をゆっくり進んでいると道沿いの用水路でカメが日光浴をしているところをよく見かけます。

 ところが用水路はほぼ例外なくコンクリートで護岸されていて、カメにとってのんびりひなたぼっこをする場所はほとんどありません。たまに水の中に向かってコンクリートの階段が設けられていたりしたら狭いコンクリート板の上で数匹のカメが重なるようにして甲羅を干しています。なんだかかわいそうです。

 昔の用水路は護岸なんかしていなくて自然の岸辺だったし、護岸しているにしても石積みの緩い傾斜になっていたのでカメなど水辺の生物は陸と水中を自由に行き来できていました。また石垣の隙間にはたいていウナギが住み着いていたものです。

 親水護岸が施されている場所もあるにはあるようですが、きわめて限定的です。せめて用水路をコンクリートで護岸する際にはところどころでも傾斜を緩やかにした石積みの場所を確保することを行政の河川を設計管理されている部署に強くお願いしたいと思います。これは何もカメのためだけではありません。人間だって梅雨や台風シーズンに用水路に流されたニュースをよく聞きますが、今の用水路では自力で岸にはい上がることはできません。

 さて、日光浴をしているカメをよく観察してみると、ほとんどのカメは在来種ではなくミドリガメのようです。おそらくペットとして飼われていたのが逃げ出したか、大きくなりすぎて捨てられたものが大繁殖しているのでしょう。最近では子どものころよく見かけたイシガメやクサガメを目撃することはまったくありません。ミドリガメに在来種が駆逐されたのでしょうか。

 こうなると用水路にあふれているカメに対する気持ちも複雑になります。ミドリガメがイシガメを絶滅させるのなら何とかしないといけないでしょう。しかしミドリガメにしても何も好きこのんで日本で大繁殖している訳ではありません。ペットとして拉致されてきて捨てられた末のことゆえ、日本でたくましく生きている彼らに罪は問えません。

 カメたちの遺伝子が汚染される(自然交雑)のも人間の罪として受け入れざるをえないのが悲しいです。

本誌:2017年5.29号 14ページ

PAGETOP