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身体から自分をだます手法

 「話して伝えるスキル」を磨くことは、影響力を増すことに直結します。これまで多くの起業家やビジネスマンを対象にパーソナルトレーニングをして参りました。もちろん時間を割いて、費用をかけてトレーニングをして下さる方ですので、克服したいお悩みがあることがほとんどです。

 1対1で会話をしたり、4~5人と人数が増えても居酒屋で世間話をすることならば困らないのに、同じ4~5人でも順番に自己紹介をしましょうかとなると、自分の順番が回ってくるまでドキドキで、うまく話せなくて後から落ち込むという人は多いものです。

 パーソナルな会話なら平気、でも自分に視線が集まるパブリックシーンが苦手なタイプの方です。そんな方には、身体から自分をだます手法をお伝えしています。自分で自分をだます。というと少し大げさかもしれません。しかし、身体と心は繋がっています。そして、心が感じていることと身体が行っていることにギャップがある場合、脳は身体がやっていることを優位に受け取る傾向があります。心理学的には、身体の優位性と言います。

 すごく落ち込んでいたけれど、忙しい作業に追われ身体を動かしていたら、いつの間にかあんなに悩んでいたことにも「まあいいか」と思えたことがある、という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。心理カウンセリングの現場では落ち込みが激しい来談者に対して、まずは椅子への座り姿勢を変えさせるところから始めることもあります。猫背でうつむいているからますます落ち込むのです。背筋を伸ばして目線を上げる、それだけで人の気持ちは少し変わったりするものです。

 複数の人に向けて話すシーンでは、まず深い呼吸をすることをおすすめします。緊張すると筋肉が固くなり、呼吸が浅くなります。自分の順番が近づいて来て緊張してきたなと思ったら、ふ~っと深く息を吐き、鼻から新しい空気をいっぱい吸い込みます。でも、ラジオ体操の最後の深呼吸のように息の音が大きく漏れるような深呼吸だと、周囲の人に怪しまれてしまいますね。ふ~~~っと吐くのも、鼻からす~~っと吸い込むのもゆっくりそっとで大丈夫です。

 ちなみにラジオ体操の最後の深呼吸は胸のあたりの筋肉を使って肺に空気を取り込む「胸式呼吸」です。この呼吸では胸のあたりや肩が上下に動いてしまい、周囲に違和感が生まれてしまうかもしれません。また本当の意味での深い呼吸にもなっていません。順番が近づいてきて、緊張をほぐすための深呼吸はぜひ「腹式呼吸」を心掛けてみて下さい。

 腹式呼吸がいいことは分かっているけれど、なかなか難しいんだよな。と思われたでしょうか?いえ、実はちょっとしたコツで誰でも腹式呼吸ができます。では本誌を手にやってみましょう。まず、ふ~~っと息を吐いてみて下さい。しっかり吐いて、吐き切ったな、と思ったら、肩の力を抜いて唇を閉じて、鼻からす~~~っと大きく息を吸ってみて下さい。

 ポイントは、吐くのが先!であること。ラジオ体操の深呼吸のように、吸って→吐いて、では無いのですね。さらには、吸おうと意識しないこと。吐き切ったその反動で、自然に息が入ってくるのに任せるような形です。さらに吸う時より吐くときに倍以上の時間をかけることもおススメです。お腹までしっかり息が入ることが体感できたのではないでしょうか。

 横隔膜を上下する腹式呼吸では新鮮な空気を身体に取り込んで、血液を全身に送り込むことができ、リラックス効果があることが証明されています。順番が近づき、緊張していることが自覚できたら、深い呼吸をしながら自分を落ち着かせることと同時にもう1つ動かしてほしいところがあります。それは表情筋です。女性ならしっかり歯が見えるほど口角を上げてスマイル。男性も唇は閉じたままでもしっかり口角を耳のあたりに近づけるように、凛々しい微笑みを。口角を上げると、副交感神経というリラックスを司る神経のスイッチが入るのだそうです。ゆっくりと落ち着いた呼吸をして、微笑んでいる人は、緊張した人は見えませんね。落ち着いている人のやっていることを身体でコピーする。これが緊張とうまく付き合う最初のポイントです。

本誌:2017年3.13号 17ページ

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