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[知的財産]要資格の役務への商標登録出願

 Q:弊社(株式会社X)は、医業に関し使用する商標を商標登録出願したところ、『この商標登録出願に係る指定役務中には、医師でなく、かつ、医療法人とは認められない法人である出願人が、業として行うことが禁止されている役務「医業」を含むものであるので、この商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない』という拒絶理由が通知されました。これはどういう意味でしょうか。

 A:商標登録は、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」について受けられるものであり(商標法第3条第1項柱書)、商標登録出願の指定商品又は役務に関し商標使用及び使用意思があるかについて合理的な疑義がある場合(例えば、一業者が通常は行わない広範囲な商品等を指定等)や、商標を使用できない蓋然性が高い場合には、商標登録の審査において拒絶理由が発せられます。

 例えば、業務を行うには法令に定める国家資格等を有することが義務づけられている役務を出願で指定していると、出願人(自然人)がこのような国家資格者であるか(国家資格者名簿等と照合)、又は出願人(法人)がその業務を行い得る法人であるか(出願人名称等から判断)を確認し、それが確認できない場合には、出願人がその役務に商標を使用できない蓋然性が高いとして拒絶理由を発し、それに対する出願人の応答等から使用可否を判断します。このような役務としては、本件の役務「医業」(医師、医療法人)以外にも、役務「訴訟事件その他の法律事務」(弁護士、弁護士法人)、役務「登記又は供託に関する手続の代理」(司法書士、司法書士法人)、役務「工業所有権に関する手続の代理」(弁理士、特許業務法人)、役務「財務書類の監査又は証明」(公認会計士、監査法人)、役務「税務相談」「税務代理」(税理士、税理士法人)、役務「歯科医業」(歯科医師、医療法人)、役務「調剤」(薬剤師、医師、歯科医師、薬局開設許可を受けた法人) も挙げられています。

 本件では、法人たる貴社(株式会社X)が医業を行い得る医療法人であるかを確認(例えば、名称に「医療法人」を含むか)し、それが確認できなかったため、拒絶理由が通知されたものと考えられます。

 この取扱は、最近の商標審査基準の改正に基づくものであり、平28 年4 月から運用されています。

本誌:2017年1.23号 23ページ

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