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[知的財産]自社略称の他者による商標登録

 Q 弊社「イロハ株式会社」は、菓子製造販売会社として50年以上前に設立され、県内では有名になっています(県外では知られていません)。多角経営を目指し、乳製品分野に進出しようかと思っていたところ、他社が、乳製品に商標「イロハ」を最近登録したことを知りました。弊社商号を、他者は商標登録できないのでは…。

 A 貴社は「イロハ株式会社」を正式に商号登記なさっているのですから、他者が「イロハ」を商標登録することは不愉快なことと存じます。

 商標法第4項第1項第8号に、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く)」は登録を受けることができないことが規定されています。同号に関し、『株式会社の商号は商標法四条一項八号にいう「他人の名称」に該当し、株式会社の商号から株式会社なる文字を除いた部分は同号にいう「他人の名称の略称」に該当するものと解すべきであって、登録を受けようとする商標が他人たる株式会社の商号から株式会社なる文字を除いた略称を含むものである場合には、その商標は、右略称が他人たる株式会社を表示するものとして「著名」であるときに限り登録を受けることができないものと解するのが相当である』(最高裁判所昭和57年11月12日第二小法廷判決)との判断が示されております。

 従いまして、貴社商号「イロハ株式会社」を他者が商標登録出願すれば、登録を受けることができません。しかし、貴社商号「イロハ株式会社」から株式会社なる文字を除いた「イロハ」は商号ではなく、略称と考えられますので、貴社略称「イロハ」を他者が商標登録出願した場合は、略称「イロハ」が貴社を表示するものとして著名(全国的に有名であることをいい、一県内だけでは足りません)であるときに限り、他者は登録を受けることができないことになります。つまり、略称「イロハ」が貴社のものとして著名でなければ、他者が商標登録を受け、商標「イロハ」の貴社使用が禁止又は制限されることがあります。

 このため商号から「株式会社」や「有限会社」を除いた著名でない略称を、商標として使用するご意向があれば、早めに商標登録することをお勧めします。

本誌:2016年10.17号 25ページ

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