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[知的財産]他人の商標登録への対抗策

 Q:先月号(8月22日発行、第1937号)にて紹介された情報提供をしましたが、他社の出願に登録査定がされました。今後どのような対抗策がありますか。

 A:他社出願の商標登録を阻止すべく情報提供をなさったのに登録査定がされて残念でしたね。この登録査定の後、他社が登録料を納付すれば、商標登録されます。

 商標登録後の対抗策としては、異議申立や無効審判請求が考えられます。異議申立及び無効審判請求のいずれも、出願審査の拒絶理由とほぼ同じ理由(指定商品又は指定役務の記載が不適切との拒絶理由は含まれません)に基づき行うことができ、本来、拒絶されるべき出願が過誤で登録された場合に、審判官の合議体(3人又は5人) による審理により、登録の取消や無効を求めるものです。

 異議申立は、商標登録後に発行される商標掲載公報の発行日から2月以内に、誰でもすることができ、原則的には書面審理によって審理されます。申立期間が、公報の発行日から2月と短いことから、通常は、この発行日よりも前から準備して、この期限に合うように登録異議申立書を提出します。そして、誰でも申立できますので、誰が申し立てたのか知られたくない場合には、関係のない第三者(ダミー)に申立を依頼することもできます。また、書面審理ですので、出頭等も通常ありません。

 無効審判請求は、商標登録後であればいつでも、利害関係人ができ、原則的には口頭審理によって審理されます。無効審判はいつでも請求できますが、一部の請求理由については、商標権設定登録日から5年経過後は請求できない(除斥期間)ことになっています。貴社が以前から商標を使用してきたことにより、他社出願時において、貴社商標が周知(需要者の間に広く認識されていた) であったこと(商標法第4条第1項第10号)を請求理由とするのであれば、この除斥期間の適用がありますので注意してください。また、異議申立と異なり、請求人には利害関係が要求され、口頭審理のための出頭を求められます。

 以上の通り、まず異議申立をし、その結果として維持決定(他社登録を取り消さないとの決定であり、不服申立不可)がなされた場合には、無効審判請求を検討なさってはいかがでしょうか。

本誌:2016年9.12号 21ページ

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