WEB VISION OKAYAMA

連載記事

不機嫌なスマホ

 3月初め、長年愛用してきたスマホのカメラが壊れたのをきっかけに新しいスマホに買い換えた話をここに書きました。基本的な操作方法は以前とほぼ同じです。しかし長年慣れ親しんだものを捨てて新しい機種の操作方法やクセに慣れるのはそう簡単ではありませんでした。1カ月かかってようやくブラックボックス・スマホの全貌を把握したころ悲劇が突然やってきました。

 何が起きたのか語る前に、以前の壊れたスマホについて簡単に。愛着を捨てきれない私はショップの人の反対にもかかわらず高額な修理費を払って直してもらったのです。カメラのレンズ以外にもあちこち経年劣化で不調な個所があったのですが、それらが一新されていました。修理といっても実際は基盤ごと取り替えたのでしょう。以前の部品で残ったのは修理の間取り外して保管していた裏蓋だけ!(と思う)

 とにかく修理から帰ってきたスマホは新品同様になっていました。キャリアとの契約が外れた機械といえどもコンビニなどいたるところにあるWi-Fiスポットのおかげでネットも電話も自由自在です。しみじみ壊れたからといって簡単に捨てなくてよかったと思いました。

 しかし……、最新機種を手に入れたのに古い機種に愛情をそそぐ……こんな状況は新しいスマホにとっては耐えられなかったようです。「わたしというピチピチの最新機種に乗り換えながら、ススけた前の子に未練がましく執着するご主人様にはもう絶えられない」と発狂したのです。

 ある日、電話をかけようとアドレス帳の電話番号をクリックしたら、発信と切断を繰り返します。変だなと思って電源を入れ直してみても関係ない番号を呼び出したり大狂い。とにかくはちゃめちゃな暴走に音を上げてショップに駆け込みました。

 「購入後2週間以内なら新品とお取り替えできたのですが……。修理に10日ほどかかります」。ショップの言葉にいちばん喜んだのは他でもありません。再びキャリアのsimカードを挿入されて名実ともに電話機として復活した以前のスマホです。

 あまりに高度な機能を詰め込まれたスマホの実体はコンピュータそのものです。しかも人間並みの感情も獲得しているに違いありません。スマホのやきもちに翻弄される私の悲劇の日々はいつまで続くのでしょう?

本誌:2016年4.18号 13ページ

PAGETOP