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「伝える」「伝わる」ための話し方

 「結局何が言いたいの? 」「 ごめん、よく理解できなかったので、もう一度説明してくれない? 」そう言われたことは無いですか?逆に、報告でも世間話でも、「この件に関して話しているのだな」と思いながら話を聞いていたら、最後の最後になって「は?結局全く違う話だったのか?」と思ったことは無いですか?

 話し言葉は、書き言葉と違い、読み返して修正したりすることができません。だからこそ、「伝える、伝わる」ためには相手への思いやりが必要です。まず、言葉は、口から相手の耳に届けばゴールではなく、相手に受け止めてもらうことがゴールであると認識しておかなくてはいけません。よく、上司が部下に「お前はどうして何度言っても分からないんだよ!」と叱責していることを見かけますが、これは、裏を返せば、分からないようにしか伝えていないとも言うこともできます。

 話しには必ず相手役がいます。その相手役に及ぼしたい影響を最初に設定してから話し始めましょう。世間話であれば、「へ~、そんなことがあったんだ」と知ってほしいだけということもあるでしょう。しかし、ビジネスでは必ず目的があるはずです。相手にどのような影響を及ぼしたいのか、どのように行動を起こしてほしいのか、それをまず設定してから話し始めましょう。

 特に、プレゼンテーションなどの場合は、話を聞き終えた後に相手に行動を起こしてほしい場合がほとんどです。人に行動を起こさせようという影響を与えようと思ったら、感情にアプローチすることが大切です。なるほど画期的な商品・サービスであることが分かった、と頭で理解するだけではなく、このままでは良くないな、と不安になったり、この製品を使っていれば安心だ、この製品を取り扱えば収益が上がることは間違いないぞとワクワクしたり、相手の感情の変容を意識することが大切です。

 そのために養わなければいけないことが「相手目線である」ことです。「大きな木」と一言で言っても、樹齢何百年というような大木が浮かぶ人と、リビングに置いてある身長くらいの大きめの観葉植物を浮かべる人と様々です。話を聞きながら相手の頭の中には必ず映像が浮かんでいます。その映像を意識しながら話すこと、その映像をできるだけ鮮やかに描けるように努めることが大切です。

 ある時、お笑い芸人から県知事や国会議員を務めた著名人の講演会に参加する機会がありました。さすが元芸人さん、話術の素晴らしさに感動したことを覚えています。なぜ芸人から政治家になったのか、とよく言われるが実は小学生の頃から政治家が夢だったのだと語るくだりでのことです。小学生の頃、宿題の作文に、将来の夢はお笑い芸人か政治家と書いた、私は真剣だったのに、ふざけたことを書くな、真面目に書けと担任の先生からひどく怒られた、と話すのですが、その担任の先生の名前から眉毛の太さ、怒ったときの表情や仕草を3度繰り返して説明しました。一見、先生の名前や眉毛の太さは関係ない話なのですが、怒られている光景が鮮やかに映画のワンシーンのように脳裏に浮かび、芸人として有名になったからノリで政治を志した訳ではなく、実は小学生の頃から政治に関心があったのだと強烈に印象づける結果となりました。

 相手目線で、相手の頭の中にどんな映像が浮かんでいるか意識すること、そしてその映像をできるだけ鮮明な映像にするようにすること。そのためには豊かな言葉が必要です。「大きな木」ではなく「大人2人が手をつないでも足りないくらい幹の太い木」と言えば浮かんでいるイメージが違うことは無いでしょう。

 分かりやすく伝えるには「最初の3秒を省略しない」ことも大切にしてください。「ご報告なのですが」「ご相談なのですが」「ご意見を伺いたいのですが」と最初に伝えることで、聞く側のストレスがぐっと軽減します。または「ポイントが3つあるのですが」と数値化したり、「これは私の意見なのですが」と事実なのか解釈なのか意見なのかをはっきりすることも分かりやすく伝えるためには大切です。○○に伺いましたところ、先方から××のように言われまして、□□の対応をしたのですが、その結果△△のようになりまして…と、接続詞でどんどん繋いでいって「。」が無いのは分かりにくい話し方の典型的なパターンです。

 そんな方には、頭の中に階段を描いて、話し手と聞き手が一緒に一段ずつ登っていくようなイメージで話すこともおすすめしています。「○○の件でご相談があるのですがよろしいでしょうか?」とまずは大きな目的・枠組みを伝えたら、「先方からは××と言われて困っております」と最初の階段を一緒に上ります。一緒にその段に登れていることを意識することを忘れないで、聞き手の表情やあいづちから「ここまで一緒に登れているかな」と意識しましょう。時には「ここまでよろしいでしょうか?」と挟むことで相手の理解度を確認するとより効果的です。

本誌:2015年5.18号 21ページ

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