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小さな旅

 在宅で介護している母が1週間の予定で入院することになり、母には申し訳ないけれどパッと旅に飛び出し、大満足で帰ってきたところです。主な行き先は新潟の加茂という町で母方の墓所があります。

 土曜日午後。新幹線で大阪に行き、大阪の友人を呼び出して夕飯を食べ、夜の9時半発の夜行バスで新潟へ向かいました。早朝、バスは新潟のバスセンターに到着。雪景色かと思ってバスを降りたのですが雪はまったく見あたらず暖かでした。

 日曜日。新潟に住んでいる母の甥(と言ってももう80歳ですが)といっしょに加茂まで電車で行き、念願の墓参りができました。母の両親は母が結婚する前にすでに亡くなっていたので私は会ったことがないのですが、墓石に花を手向けながら「母を迎えにくるのはいましばらく待ってほしい」とお願いしてきました。

 墓参りを終えて新潟市に戻った私は一人で日本海に面した海辺に行ってみました。横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されたのはこんな場所だったのかと思うと穏やかな日本海がとても悲しく思えました。

 月曜日。新潟からJR磐越西線の快速列車に乗り会津若松に向かいました。平野に雪はなかったのに山が見えてくるとすぐに雪景色に変わり何だかテンションが高まります。喜多方でラーメンを食べる訳でなく会津若松の観光をするのでもなく、すぐに会津鉄道に乗り換えました。行き先は東京の浅草です。雪山の絶景の中をローカル鉄道のディーゼルカーがゆっくり進んでいきます。

 途中の駅からディーゼルカーから電車に替わりややスピードアップしながら東武日光線を経て埼玉県へ。草加市で途中下車しました。東京で学生生活をともにした古い友人と久しぶりに会って駅前の喫茶店で近況報告をしました。二十歳の輝ける若者だったのに今やお互い60代も半ば。感無量、言うことなし。東京泊。

 火曜日。旅の疲れかホテルで朝寝坊。学生時代によく行った喫茶店ルノアールでモーニングを食べ、羽田空港に向かいました。旅も終わりかと思ったらまだドラマがありました。同じ飛行機に中学校時代のクラスメートの女性が乗っていたのです。がら空きだったので席を移り、思わぬ場所でミニ同窓会ができました。

 小さな旅は終わりましたが、人生の旅はまだまだ途中です。

本誌:2015年3.9号 11ページ

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