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背筋が寒くなるお話

 「イスラム国」によるテロ(というより宣戦布告なき戦争)に世界中がぴりぴりしているさなか、私はただいま上海に来ています。地下鉄駅に制服警官が配置されセキュリティチェックが厳しくなっているくらいしか緊張感が目につくことはありません。

 地下鉄の改札口で手荷物のエックス線検査があることは前回もご紹介しましたが、庶民も負けてはいません。とりわけ若い女性は強いと感心するのは、背中にリュックサックを背負った若い女性が係員の指示を断固拒否してエックス線検査を受けずに強行突破するところを一度ならず目撃しました。(岡山弁:おなごはしぶてえ!)

 まあ、検査する係員も客足が絶えるとスマホでゲームに熱中しているのですからいい勝負です。庶民の我(が)が強く万事融通がきくのがこの国のいいところであると思います。日本人は何事につけ一生懸命過ぎて息苦しくなるのではないでしょうか。

 セキュリティ対策といっても目に見えるものはこの程度ですが、目に見えない対策こそ本命で、私もこのたび背筋が寒くなる体験をしました。

 中学校の同期の連絡と親睦をかねて昔からML(メーリングリスト)を作って意見交流しています。今回の上海滞在中にもいろいろ見聞きしたことをMLに投稿していたのですが、ある瞬間を境にメールがブロックされるようになりました。メンバーの1人が投稿した内容に1980年代最後のころ北京で起きた○○○事件の5文字があり、そこにフィルターが反応したようなのです。

 それからというものメールを送って「送信済み」になっても相手に配送されません。聞くところによると就職難にあえぐ理工系学生を数万人雇ってネットの監視をしているとか。コンピュータがはじき出した○○○事件は特に中国政府が神経をとがらせているイシューなのです。

 私が出したメールは24時間もかかって相手に届きました。日本語を読んで解析するのに手間がかかるのでしょう。そこで私は次からメールの冒頭に以下のように書き添えました。「当局の皆様、お仕事ご苦労さまです。私は監視される値打ちもございません。検閲は速やかにお願いいたします」 その甲斐がありました。このメール以降瞬時に日本に届くようになりました。

本誌:2015年2.23号 13ページ

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