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連載記事人材育成のタネ 11

なぜ離職する人が多いのか

  • 竹本幸史氏

 労働市場の流動化が進んだ昨今、社員の定着という課題は若年層に限ったものではなくなりました。中高年層や女性にも広がり、企業のノウハウ蓄積や技能伝承、風土醸成などに悪影響を及ぼしつつあります。人的資源の限られる中小企業は、どう対応すればよいのでしょうか。

 離職理由はさまざまな統計結果、調査分析がありますが、多くは人間関係によるストレスや賃金、仕事の量、休暇などの理由が挙げられます。もちろん勤続年数によって傾向も異なります。勤続3年未満の社員の離職理由が給与や仕事上のストレスという近視眼的なものが上位になるのに対し、勤続3年以後の社員は、将来への不安やキャリアアップというものが入ってきます。ただ企業ごとの特徴や他にはない傾向が抽出されることもありますので、問題の対策を考える際は現状分析を行うことが大切です。漠然と「社員が辞めてどうしようもない」と手をこまねくよりも、まず踏み込んで分析してみましょう。「なぜ自社の社員は辞めていくのか」「辞める社員は何を考えて辞めていくのか」「どういう社員が辞めやすい傾向にあるのか」など、自社の退職者を分析してみてはいかがでしょうか。

 そして分析した後になにを解決することが離職を食い止めることにつながるかをはっきりさせなければ、打ち手が「もぐらたたき」のような状態になってしまいます。それではいつまで経っても解決しません。一般的にですが、人間関係、仕事上のストレス、将来への不安、キャリアップに関しては「人材育成」で対応可能です。よりよい部下指導ができる、他者の模範となるような中堅層、管理職層を育成することが真の問題解決につながります。「あの人のようになりたい」または「あの人と仕事をすることが喜び」というリーダーを育成することが一番の処方せんなのです。もちろん、そういったリーダーの将来に対する不安、キャリアップにも対処しておかなければなりません。人こそが経営資源とよく言われます。「緊急性が高く、重要性も高い」という案件ではなく、「緊急性は低いが、重要性が高い」経営戦略にとって、非常に需要なものがリーダー育成、人材育成です。改めて自社の経営戦略における人材育成について考えてみる機会とされてみてはいかがでしょうか。

●竹本幸史● 元㈱リクルート岡山支社長。現在は人材育成を主としたコンサルティング業務の㈱SWITCH WORKSを立ち上げ奔走中。くらしき作陽大の非常勤講師も務める。またリーダー養成スクール「法人会員制・定額制ビジネススクール」を開講中。

本誌:2014年11.10号 12ページ

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