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組織にもある賞味期限

 食品衛生法よって表示が義務づけられている二種類の期限があります。弁当やサンドイッチのように足の速い食品には安全の目安として「消費期限」、またスナック菓子や缶詰など長期保存がきく食品を美味しく食べられる目安として「賞味期限」が設定されます。賞味期限の場合は、その日を過ぎても直ちに食べられないわけではありませんが、美味しさが損なわれているかもしれないという警告です。じつは、組織にも賞味期限が存在しています。

[個と組織の関係性]

 人間の集合体を組織といいます。社会科学では「組織とは複数の人々の行為やコミュニケーションによって構成されるシステムのことである」とされ、そこには共通の目的や各々の役割・序列が存在すると説明されています。企業はもちろんのこと、同業種組合や自治体行政も組織です。商工団体や子どもが通う学校・PTAもしかり。私たちは日々の生活で、いくつもの組織と関わりあっています。

 元来日本人は個よりも組織を重んじる傾向が強く、世界に誇れる美徳であると同時に、ブラック企業をのさばらせる温床ともなっています。ではなぜ、日本人は組織を大切にするのでしょうか。これは私の仮説ですが、土地にしばられて暮らしていく農耕民族であったことが関係していると考えます。用水や防災等の観点から、地域の人々は互いに協力して「村」という組織を長きにわたり形成せざるを得ませんでした。そして、昭和の時代になっても「村」の仕組みをそのまま企業組織にあてはめ、高度経済成長を成し遂げたという甘美な成功体験があります。未だに組織を優先させれば成功できるという心理は色濃く残っています。

[組織の意義に異議あり]

 そもそも組織というものはなぜ形成されるのでしょうか。それは、便利であったり、有利であったり、安心できるから人が自然と集うのです。これらのプロフィット(便益)が無いのであれば組織に属する必要はないはずです。そして、現在でも右肩上がりの昭和につくられ、ほとんど恩恵を生み出さないばかりか、参加コストが発生し、様々な制約で縛られるだけの組織が数多く存在しています。情緒的視点もあるので、このような組織に関わること全てが無駄とは申しませんが、ビジネス的視点で考えればコストと時間を使って得られるものがないのは好ましくないはずです。

 関わる組織の有為性を見分ける目安があります。それは、組織が本来の役割をなすより、組織自体を維持するために頑張りはじめたら、概ね社会的機能は終わっているのです。また、その他にもいくつか特徴的な部分をピックアップするなら以下の通りです。

組織の賞味期限チェック
①所属数がずっと減少傾向にある
②意見や提案を受け入れる気がない
③何に役立つか一言で説明できない
④勧誘はしつこいのに活動は少ない
⑤前例主義で変化を好まない

[組織の寿命]

 あらゆる組織には寿命が存在し、いつかは終わるものであるといわれています。例えば幕末には260年以上にわたり日本を統治していた巨大組織「江戸幕府」が終焉を迎えました。現代では諸説ありますが、経営・経済の専門家たちは、各種の組織寿命は短くなっているという点でコンセンサスを得ています。世界中を巻き込んだ構造変化とパワーシフトの加速によって、価値創造を同じ形式でやり続けることが極めて困難になっているのです。

 そこで提案ですが、これからつくる組織については「消費(終了)期限を決める」というのは如何でしょう。新たな組織は1~3年程度の時限制とし、期限が来る頃に上手く機能していれば「賞味期限」を過ぎておらず、まだ旨味があるということ。その時点で再度継続する意思決定をすればよいのです。そうすれば「私の代だけでも、このままいってくれ」という、トップの膠着状態が発生しにくくはなるはずです。

筒井徹也(鉄じぃ)

スウィングモード 代表
倉敷芸術科学大学 非常勤講師
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本誌:2014年10.13号 21ページ

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