WEB VISION OKAYAMA

連載記事

和食2軒、勝負あり

 子どものころから母親の手伝いをよくやらされていた私は家庭料理を作るのは今でも好きです。ステーキやすき焼きは肉さえいいものを買ってくれば専門店で高いお金を払わなくても自分なりに満足いくものができます。ただ真似しようにも最初からできないなと思うのがフランス料理と本格的な日本料理です。

 春の味覚を求めて岡山市内の料理屋さんを2日連続で2軒訪ねてみました。初日は岡山市北区丸の内の料亭桜川で5000円(税別)のおまかせコースをお願いしました。「京の味」と看板に出ていました。

 京都で修行したというご主人は京料理の繊細さ、華麗さを岡山の地に持ち帰られた一方、京の店の気位の高さ、敷居の高さは京都に置いてこられたようで、私のようにぱっとしない一見(いちげん)の客にも心を込めて、時にはご亭主自らおもてなししてくれました。ソラマメ、タケノコ、黄ニラなど春の食材が控えめに季節を演出していました。

 2日目は桃太郎大通りに面した料亭アートダイニング武蔵です。大阪からやってきた若者をお供にやはり5000円(税別)のコースを選びました。ちなみに創業70年のこの店は昔からランチの炊き合わせ定食が絶品です。お腹にやさしい野菜が何種類か鉢にもられてくるのですが、ひとつひとつの野菜が絶妙のハーモニーを奏でます。しかもたったの750円! 一番安いメニューが一番グッドです。

 さて、夜のコースは? 先付には酢味噌が添えられたベラタが供されました。春の気配が一気に口に広がります。その後でしたか茶碗蒸しが運ばれてきたとき、しまったと思いました。連れは甲殻類アレルギーがあるのを伝えるのを忘れていたのです。遅ればせながらその旨伝えたところ、「以後のお料理はエビ・カニ抜きにします」とのことでした。

 自分の不注意を棚に上げて言うのもなんですが、ここは「すぐ、作り直してお持ちします」と言って欲しかったです。そう言われれば「いえ、お気遣いなく、私が2人前いただきます」などと応じることができたのですが……結局、私が茶碗蒸しを2つ食べ、連れには絶品炊き合わせを2鉢食べてもらいました。

 そんなこんなでこの勝負(?)軍配は桜川に。いやあ日本人に生まれてよかった、としみじみ思う春の連チャン宴席料理でした。

本誌:2014年3.17号 14ページ

PAGETOP