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ザワークラウト

 テレビ番組でコンスタントに視聴率が取れる定番に料理番組があります。イケメンタレントが実現不可能な凝った料理を作ったり、うるさい大阪のおばはんが講師の横から機関銃のように口を挟んだり、3分とか5分というわずかな時間でたちまちよだれがでそうなごちそうができるものなどいろいろ。

 でも残念なことにテレビを見ながら真似して作ってみたいと思っても材料が複雑すぎたり、何を何グラムとメモしなければどうにもならないものばかり、もっぱら目で楽しみ忘れます。ところが最近たまたまチャンネルを回していたらNHKの「きょうの料理」でドイツ名物ザワークラウトの作り方をやっていました。

 講師は日独ハーフの門倉多仁亜(かどくらたにあ)さん。料理はやはり本場の人から習うのが一番です。ザワークラウトは“酸っぱいキャベツ”という意味でキャベツを乳酸発酵させたドイツを代表する漬け物ですが、これにソーセージとビールがあったら文句なし。梅干しとおにぎり並の相性の良さです。レシピは超簡単、すぐ覚えられました。

 材料: キャベツ1個、塩はキャベツ重量の2%、ローリエ1枚、ジュニパーベリー3粒(あれば)、キャラウェイシード少々とのことです。

 ここで“はて?”と思われる方が多いと思われるのがジュニパーベリーでしょう。日本ではあまりなじみのないものですが、洋酒のジンの香り付けに使われる松ヤニっぽい香りの香辛料です。デパートでもなかなか取り扱っていません。

 ところがこれは実は日当たりのいい近場の里山のどこにでも生えている針葉樹の実。和名「ネズ」です。岡山では「モロウ」とか「モロ」と呼ばれ、私が子どものころはこの木を切ってきてクリスマスツリーにしたものです。ジュニパーベリーがどこにでもあることを知っているのは不肖、私ぐらいのものではないかとちょっと得意気な気分です。

 荒く刻んだキャベツに塩をして上記材料を加え重石をして暖かい部屋で3、4日発酵がすすむのを待ちます。静かにホツホツと泡立ちながら発酵してたちまち本場のザワークラウトが完成です。おいしい! キャベツ2個で作ったのにすぐに食べ尽くし、今度は4個、大きなカメで作りました。「ソーセージとビールをこれに持って参れ!」と独り言。

本誌:2013年11.25号 15ページ

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