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[法律] 商事売買の買主の責任

Q. 当社は衣料品販売業を営んでおり、製造業者から衣料品を購入し店舗で販売をしていましたが、納品から2カ月がたったころ、購入者から染色むらや裁縫不良があるとのクレームを受けました。当社は、直ちに製造業者にその旨を連絡し、販売を中止して衣料品を回収しました。当社は製造業者との本件売買契約を解除できますか。
 
買主の検査・通知義務が問われる

A. このような場合、一般人同士の取引であれば民法の規定が適用され、染色ムラや裁縫不良が隠れた瑕疵(かし)にあたれば、売買契約を解除することができます(民法570条)。しかしながら、今回のケースでは、売主と買主は双方とも商人ですから、商事売買の規定が適用されます。この場合、商人は規模の大きさには関係がないので、個人でネットショプを始めたときにも適用されます。商事売買においては、買主は、目的物を受領したら遅滞なく物品を検査し、瑕疵(かし)を通知する義務が課され、これを怠ると買主は解除や損害賠償をすることができなくなります(商法526条)。本件では納品されてから2カ月が経過していますから、直ちにとは言えない可能性があります。

 もし、目的物に「直ちに発見できない瑕疵(かし)」があった場合、6カ月以内にこれを発見したうえで、直ちに通知をすれば、契約の解除や損害賠償などを請求することができます。しかし、6カ月以内に瑕疵(かし)を発見できなかった場合には、売主に対して責任追及をすることができなくなります。これは、商人である買主にとって大変厳しい規定と言えるでしょう。

 このような規定が置かれた理由は、商取引の迅速性の要請と売主保護にあると言われています。また、買主が商人であれば、専門的知識を有するため、重い義務を課しても負担とならないということもあります。もっとも、現実的には、商人であるからといって、購入するすべての物について専門的知識を有しているわけではありません。しかし、そのような場合であっても、商人間の売買である以上、商事売買の規定は適用されますので、注意が必要です。

 ただし、商事売買の規定は任意規定ですから、特約で排除することは可能です。したがって、買主は重い負担を免れるために、契約書を作成したうえで、商法の規定を排除する特約を締結し、予想外の結果を招かないように予防しておくことが重要だと言えます。


弁護士法人岡山パブリック法律事務所玉野支所
弁護士
豊芦 弘氏
玉野市築港1-17-5-202
TEL0863-33-6113

本誌:2013年8.26号 31ページ

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