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上海旅行

 両親の介護というおそろしく単調な生活をしていると無性に旅をしたくなります。ヨーロッパやアメリカまで出かけるのは日程的に無理がありこの10年、飽きもせず繰り返し台北、上海、バンコクに出掛けてきました。

 今日もこれから久しぶりに上海へ向かうところですが、震災で就航が延び延びになっていた中国の格安航空会社、春秋航空が高松路線を設け7月から飛び始めたのでそれを体験してみるのも旅の目的の1つです。

 最近ダイエットして10㎏ほどスマートになったのでまさか体が狭い席に収まらないということはないと思うのですが少し心配。インターネットでチケットを購入した際、一番前の足元が広い席が2000円アップで売られていたのが気になります。格安航空に乗る以上は何でも切り売りしてくる各種有料サービスの誘惑にのらないという自分なりのポリシーに従って座席は指定していません。出たとこ勝負です。

 上海といえば先日地下鉄で衝突事故が発生したばかりですが、どんどん路線を拡大する地下鉄に乗らないで旅行することはできません。信号システムに問題があるといっても、毎日朝から晩までちゃんと走っているのだから、乗らないという選択をするほど危なっかしいものではないでしょう。ただ、ぶつかってもぶつかられてもサバイバルできるように列車の真ん中の車両に乗るように心掛けたいと思います。

 中国での度重なる鉄道事故やトラブルに対して、日本は新幹線が開業して以来約半世紀、事故による死者はゼロであることを強調していますが、在来線では鉄道史上もっとも悲惨だった鶴見事故(1963)が起き161名の乗客が死にました。私の母方の従姉妹もこの事故の犠牲になりました。

 そして2005年の福知山線尼崎駅の事故では107名の方がなくなりました。中国のことを笑えない悲惨な歴史の上に今の日本の安全な鉄道があることを忘れてはいけないと思います。

 思えばアジアの都市の魅力というのは上海の例のようにほんの30年前はお話にならないぐらい前近代的だった街があらゆる矛盾をかかえたまま最先端都市に変貌していることにあるのではないでしょうか。

 昨年のバンコクの大規模デモ、最近の中国の鉄道事故…みんな日本が30年か40年前に体験してきたことだからこそ、いまアジアの熱気がせつなくもあり、また“懐かしく”思われるのかもしれません。

本誌:2011年10.10号 18ページ

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