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巻頭特集岡山県内金融機関

改正貸金業法完全施行で消費者ローンを強化 信販、消費者金融が商品提案を活発化

  • 法改正を背景に受け皿のローン商品も順調に推移

 改正貸金業法の完全施行(6月18日)を契機に、岡山県内の金融機関は、個人向けローンの強化に動き出した。無担保・小口で使途自由の消費者ローンの新商品を今後相次ぎ投入する。複数の債務を集約し肩代わりする“おまとめローン”も検討中。背景には規制を受ける大手の信販会社、消費者金融会社が保証業務拡大を目的に商品化を促していることがある。また、企業の資金需要が低調なほか、個人向け融資のけん引役だった住宅ローンも今後伸びは期待できない。その中で、消費者ローンは成長余力を残した数少ない分野で、要注目の市場である。

 銀行融資は総量規制対象外

 今回の法改正では貸金業者からの個人の借入残高を年収の3分の1にまで制限する総量規制が導入されたが、銀行や信用金庫などの融資は規制の対象外。そのため、金融機関側には貸金業者から新規に借りられなくなった人の受け皿としての期待も大きい。これに対し、金融機関側は法改正対応も想定に入れた無担保ローンの商品を投入してきた。

 ㈱中国銀行(岡山市)では、「コレカ」(カードローン、フリーローン)を販売。主婦やバイトもOKで「幅広いニーズに対応するため商品化した」と言う。大々的なPRで好調に推移しており、IR資料によると、「専業他社提携商品・ATMローン」の残高は3月末で計19億円。前期比9億円の増加でその大半が「コレカ」だ。

 ㈱トマト銀行(岡山市)は、昨年7月に「トマト・カードローンMAX」を投入した。本来銀行との取り引きが可能だが他業態へ流れていた優良客の獲得も狙う。

 信用金庫では、4月に県下業界共通で目玉商品「きゃっするカードローン」の内容を改定。限度額を50万円から300万円に拡大したほか、配偶者に安定収入がある専業主婦(限度額50万円)も対象に加えた。利便性が高まり各信金で「申し込みが増えた」とするが、都市部のおかやま信用金庫(岡山市)では「特に(規制が厳しくなった)専業主婦が目に付く」と言う。

 そのほか、7月以降新商品を投入する動きもある。トマト銀行では、7月に大型のフリーローンを発売する。玉島信用金庫(倉敷市)も、今後使途自由のフリーローンを投入する予定。笠岡信用組合(笠岡市)ではカードローンの発売を検討中。「完全施行直前にフリーローンの申し込みが増えた」と話す。需要は着実に増大しており、フリーローン、カードローンの両者を取り揃える形で無担保ローンの商品群の充実を図る。

 また、おまとめローンも再度脚光を浴びている。信用組合岡山商銀(岡山市)は4年前に戦略商品として発売。3月からテレビCMを開始。担当部署の人員を増員し現在本部のおまとめローンセンターに8人、倉敷支店に3人を配置。日曜日の相談も実施している。トマト銀行は、近く既存の無担保型の同ローンの商品内容を改定し利便性を高める。そのほか、信用金庫でも現在新たに販売を検討しているところがいくつかある。

 保証業務提携先の裾野拡大

 これらの活発な商品開発の背景として、大手の信販会社、消費者金融会社の動きが見逃せない。これらの業態は直接総量規制の網が掛かり、融資業務の縮小は避けられない。そのため、数年前から銀行との提携で保証業務の受託に活路を見出している。㈱オリエントコーポレーション(東京都)の保証残高は3月末で9006億円。来年3月末で9630億円(前期比6.9%増)を目指している。プロミス㈱(同)の連結での保証残高は3月末で5441億円で前期比10.0%増。保証業務は急拡大だ。

 特に現在は地銀、第二地銀との提携先はほぼ固まった印象で、その次の段階として信金、信組にまで広げ営業攻勢をかけているよう。特に時節柄目立つのはおまとめローンの提案だ。ある地元中小金融機関は「ここ1、2週間複数の業者から商品企画の提案を受けている」と話す。金融機関側もこうした無担保ローンの審査ノウハウがないため、信販や消費者金融に依拠する傾向にある。

 また、金融機関側でも消費者ローンは今まで手付かずの分野だ。企業向けは景気低迷で設備資金、運転資金とも低調。住宅ローンは順調に伸びてきたが、最近は新築戸数の低迷で伸びが鈍化、今後高い伸びは期待できない。さらに金利競争も激烈で、「住宅ローンの金利の低さでは岡山県は全国でもトップクラス」と言う。それに対し、消費者ローンは法改正で上限金利が引き下げられてもまだ高い金利が取れる。そのため、「今回の法改正はこの分野を見直すきっかけになった」と口を揃える。

 需要増の半面審査を通らず

 ただ、問題は、「需要増は確実」だが実際に融資実績に結び付く案件は限定されそうな点。ある無担保ローンでも「申し込みは増えたが、一方で審査で落としたケースも多い」と言う。「提携商品で保証会社の審査に落ちても、長年の取り引きにより総合的に判断し身内の保証人を付け別の自前の商品で融資した」(備北信金)と柔軟な姿勢で対応する動きもあるが、需要のすべてを拾えるわけではない。

 また、融資額が小口の割に手間がかかり効率面で難点があること。例えば、岡山商銀のおまとめローンでは広告宣伝で電話での問い合わせ件数は増えたが「審査の結果、実際に融資に結び付くのはその一部」。さらに融資の希望者と最低でも4回面談、最大7回面談したケースもある。保証会社の保証を付けないため、保証人2人を要求し申請の段階でそこまで徹底する。それだけに融資後の事故率は低い。商銀は極端な例かもしれないが、多重債務者が相手の場合、一般的に「生活の根本から変えてもらう必要があり、そのための指導も必要」でどうしても労力が要る。

 こうした背景から、実際どれだけ取り込めるのか不透明なため、慎重に構えるところもある。

 今までも何度か消費者ローンの拡大を試みたが、思うように伸びなかったのが実状。しかし、今回の法改正の社会的影響は大きく金融機関にとって、このビジネスチャンスをどう生かすかが注目される。


 改正貸金業法のポイント

「総量規制」 

 年収の3分の1を超える額の新規借り入れができなくなる

 借り入れの際に収入を証明する書類(源泉徴収票、確定申告書、給与明細など)が基本的に必要となる

 すべての個人向け貸付は指定信用情報機関に全件登録

「上限金利の引き下げ」

 法律上の上限金利が29.2%から、借入金額に応じて15~20%に引き下げられる。グレーゾーン金利の廃止

「貸金業者への規制を強化」

 法令順守の助言、指導を行う国家資格のある人(貸金業務取扱主任者)を営業所に置くことが必要

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