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高速ツアーバス

 今もっとも旬の輝きを放っている市川海老蔵の芝居を見るために夜行バス2連泊で東京に出掛けました。海老蔵の男伊達ぶり(助六)はひたすらカッコよくしびれましたが、歌舞伎の話は別の機会に譲るとして、今回はツアーバスに初めて乗った印象を記します。

 ツアーバス最大の売りはバス会社が運行する高速バス代のほぼ半額という格安料金にあります。低価格を実現するためにいっさいの無駄なサービスが排され、かえって新鮮な旅情を味わうことができました。

 夜11時20分、岡山を出発したバスにはトイレがなくしかも最初の休憩は名神・養老サービスエリア(岐阜県)という案内に真っ青。ペットボトルのお茶もちびりちびり口を湿らす程度にしておかなくてはなりません。 

 狭い4列シートの隣人が窮屈さに耐えかねて腰をクネっとよじるとでかいケツがわが方を侵略。生温かい感触がたまらなく不快であっても、おじさんのお尻を押し戻すことはできない。そこでこちらも同じように腰をクネっとひねり相似形の体勢になってわずかなスペースを確保。

 姿勢を自由に変えることもままならず悶々としているうちに早くも空が白み始めました。2回目の(最後の!)の休憩は横浜インター手前の海老名SAでしたが、この間満員の乗客のだれひとりとして臨時トイレ停車を要求しなかったのは実に見上げたものです。

 朝7時、最初の降車地である横浜駅で半分ぐらいのお客が降りていきました。旅慣れた人達です。というのもそのあとバスは朝の渋滞に巻き込まれ、東京駅に着いたのは9時半でした。もし横浜で電車に乗り換えていたら7時半過ぎには東京駅に着いていたでしょう。

 喫茶店でしばしくつろいだあと、午前11時から午後9時15分まで海老様の芝居に酔いしれ、午後10時半、またバスに乗り岡山に向け出発しました。今度はトイレ付でガラ空き、シートもデラックスで天国!、しかも料金は往路の地獄バス同様6000円ぽっきりでした。

 ツアーバスにはもう懲り懲りかって?いいえ、新幹線や飛行機より時間が有効に使え、すっかりファンになりました。

本誌:2010年6.7号 14ページ

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