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インプラント

 8020運動というのがあります。80歳で自分の歯を20本以上残そうという運動ですが、私にはこの目標はあまり意味がないように感じられます。

 人間の歯は1本でも欠けると咀嚼力はがくんと低下し、不本意によだれを垂らしたり歯並びのバランスが狂って顎関節症になったりで生活の質は確実に落ちます。死の瞬間まできれいな歯がそろった状態でいたいものです。

 ところが私は今年ついに歯を2本立て続けに失ってしまいました。長年治療に治療を重ねた歯が根本から割れてしまい抜かざるをえなかったのです。そしてインプラントの手術を受けました。かなりの決心が必要でした。

 すでに麻酔も済んで恐ろしいドリルがジーワン・ジーワンうなり声を上げ始めた瞬間、今からでも逃げ出したいと思ったもののもう手遅れ。恐怖の十数分を何とか耐えました。

 しかし基礎のネジが埋入(まいにゅう)されたらインプラント治療はすでに9合目にきているのです。実にあっけない。あとはネジの周りに骨が再生してしっかり根付くのを待つのみです。

 最初の恐怖体験から少し賢くなった私は2本目の手術のときはお気に入りの音楽DVDを持参しました。診療室の大型モニターに映し出されるオペラ「魔笛」に見入っていたら、いつのまにか治療が終わっていました。この方法は皆様にもぜひ試していただいきたいと思います。

 それにしても、いったん失われた歯を復活させる画期的な治療法とはいえ、インプラントは非常に高く、1本30万円以上では歯医者さんがどう弁明しようと正常な価格ではありません。

 インプラントの普及によるコスト低下に加え、いったん治療が完了したあとは以後虫歯治療による健康保険負担がないことを考えれば、保険からの補助があってもよく、とにかく今の半額程度になるよう業界や歯科医、行政に望みます。

本誌:2009年12.7号 14ページ

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