WEB VISION OKAYAMA

連載記事

介護疲れ殺人未遂事件に思う

 孤立無援の在宅介護の果てに介護人が妻や老親を殺す事件が多発しています。最近山口で裁判員が参加した公判があり、判決は殺人未遂事件であったにも関わらず執行猶予が付いた寛大なものでした。

 しかし、私が被告なら執行猶予など返上して半年でも1年でもいいから刑務所に入れてくれとお願いしたい。24時間週7日片時も気の休まる時間がない在宅介護人にとって刑務所は天国です。

 夜9時、消灯とともに朝までひたすら眠れる幸せ!朝が来たら顔を洗って調理師が作ってくれたご飯を食べる快楽。昼間の労働が夕食をおいしくさせ、快眠を誘う…

 刑務所はともかく、そもそも家族の愛情から発した在宅介護がなぜ悲劇的な破綻を迎えなければならなかったのか、なぜ当事者も行政も介護負担を軽減する方策がとれなかったのかについて、今後も介護を巡る理不尽な実情が市民参加の法廷で明らかにされていく意味は大きいと思います。

 理不尽な例、その1。介護保険制度に強制的に加入させられ高額な保険料を負担しているにもかかわらず在宅介護をしている人には1円の報酬も支払われないことなどあまり知られていません。

 理不尽な例、その2。私の両親がヘルパーの力を借りながらも老老で細々と暮らしていたころは介護保険で家事援助ヘルパーが使えていたのに、母が気管切開したとたん事態は急変しました。

 法によりヘルパーは痰の吸引ができない、したがって私が両親宅に常駐せざるを得なくなり、そうなると家族が常駐しているという理由で家事援助のためのヘルパー派遣はうち切られてしまったのです。

 行政や社会に迷惑をかけず在宅介護で頑張っている人を犯罪者にしてしまうような国に明るい未来はありません。

本誌:2009年9.21号 14ページ

PAGETOP