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絶滅危惧種

 昭和30年代、中2のとき、鼻の手術のために入院したことがあります。当時は看護師のことを看護婦と呼んでいたのですが、看護婦さんには共通のスタイルがありました。「心優しき白衣の天使」という言葉そのままに不安な患者を受け止めてくれる包容力があったように思います。

 でも容姿となると、書きにくいことですが、タレントでいうと柴田理恵、もたいまさこ風のお姉さん方が多かったのです。

 時代は流れ、平成になってすでに21年。今や歯科衛生士でも眼科の受付でも「顔で選んでいるのと違うか」と思わせるほど美人ぞろい。背が高くスタイル抜群、かつて一世を風靡した富永一朗の漫画「チンコロ姐ちゃん」タイプはどこを探しても見つかりません。

 ところが先月、在宅で訪問看護を受けている母のところにベテラン看護師に連れられて実習生が来ました。何か今どきの若い女性らしくない。もう20歳は過ぎているはずなのにお下げ髪で(記憶違いかも)、勉強熱心、いつもの実習生とは気構えからして違いました。ひそかに絶滅危惧種がこんなところに健在だったのかといたく感心しました。

 実習の最後の日、彼女は母のためにひざがくっつかないように大きなスポンジをきれいな布で包んで縫い合わせた手作りのクッションをプレゼントしてくれました。彼女の優しい気遣いにおじさんはウルウル。

 実習が終わって次の週、私が「あの学生さん、いまどき珍しいタイプでしたね」と言ったら、「え、言いませんでした?彼女は上海からの留学生ですよ」。なるほど、私が彼女の内に絶滅危惧種を感じ取ったのは当たっていたのです。

 日本の空から消えてしまったトキを中国から輸入し、再び日本の自然に返す試みが成功しかけています。介護や医療の現場に中国や東南アジアから「心優しき白衣の天使」タイプの看護師さんを迎えることに私は賛成です。

本誌:2009年6.29号 14ページ

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