WEB VISION OKAYAMA

連載記事

“真っ赤の血”

大阪に住んでいた27年のうちアメリカやアジア諸国に行くのによく利用したのがノースウエスト航空(NW)です。アメリカの会社のくせに日本発着のアジア路線を多数もっていてしかも格安。若者の貧乏旅行には強い味方でした。

 かつてNWが大阪国際空港(伊丹)からニューヨークまで直行便を飛ばしていたころのこと。燃料を目一杯積み込んだジャンボ機がよたよたと離陸したあと間もなく夕食サービスが始まりました。

 かなり太めのアメリカ人スチュワーデスが乗客1人ひとりに声を掛けてきます。「ステークorマッカノチ」。「真っ赤の血」っていったいどんな料理かと思ったら何と「幕の内」のことでした。これがおせち料理に匹敵する豪華版!

 私はためらわず「真っ赤の血」にしました。隣席の中年女性も同様。「私こんなに食べられません。よかったら少し取ってくれませんか」と声を掛けてくれたので遠慮なく大きなエビやブリの照り焼きをいただきました。(これって今にして思えばかなり不作法)

 当時NWは以遠権をフルに使ってニューヨーク・大阪便をシドニーまで延長し世界最長路線として営業していたのですが、旧運輸省は日本の航空会社保護を理由にさまざまな妨害工作をし、ついにNWはこの路線から撤退してしまいました。

 21世紀に入ると世界的な燃料高騰の影響を受けて経営が傾き始め、近年ではまさに“真っ赤な血”を垂れ流しながらの低空飛行だったようです。そして昨秋とうとうデルタ航空に吸収合併されてしまいました。

 新年度には関西空港に残っていたデトロイト、サイパン、台北路線も廃止するとか。我が青春を運んでくれたノースウエスト航空。少々センチメンタルになった私は急きょ大阪から台北までラストフライトに出掛けることにしました。

本誌:2009年2.23号 12ページ

PAGETOP