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たまには映画を:エクソシスト

 ホラー映画の古典というべき「エクソシスト」(1973)。悪魔(その名もパズズ)に取り憑かれた12歳の少女の首が360度回ったり、緑色の反吐を吐きかけたりするシーンに思わず目を背けた記憶がある人も多いのではないでしょうか。

 しかし、この映画は人間の深層心理をえぐったドラマとして見ごたえがあり私は大好きです。ちなみに古代の悪魔パズズの姿は1万円札の裏側に描かれている鳳凰そっくり。

 少女に取り憑いた悪魔は、いろんな声色を使い分けて新米のカラス神父を混乱させます。それに対して長老のメリン神父は、カラス神父に「悪魔が複数いるのではない、あくまで悪魔は1人、惑わされるな」と指導。どんなに複雑に入り組んだ問題も本質を突き止めれば解決の糸口が見えるという意味で含蓄のあるセリフです。

 さて、悪魔払いの儀式のハイライトは小瓶に入った聖水を悪魔に振りかけながら「キリストの名において汝を罰する」と繰り返し唱えるシーン。しかし悪魔もなかなか手強いのです。

 キリストが生まれるはるか何千年も前、チグリス・ユーフラテス文明の時代にすでに存在した悪魔パズズが、そんな呪文ごときでは簡単にダウンしません。

 キリスト(の霊的パワー)にしても全人類を救うという大仕事を今も託されているというのに、20世紀のワシントンで起きた奇妙な憑依事件の解決になど本腰を入れるとは思えず、その結果、メリン神父は心臓発作で死に、カラス神父は自分の命と引き替えに少女を救出します。

 そんな凶悪な悪魔もDVDを繰り返し見ていると何となく愛嬌があることに気づきました。口元が案外かわいいのです。2000年に発売されたディレクターズカット版がおすすめです。

本誌:2008年GW特別号 18ページ

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