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松下・水道哲学の破綻

 1932年5月、松下電器創業者である松下幸之助氏は後に“水道哲学”と呼ばれる理念を従業員に説きました。

 いわく、「道行く人がよその家の水道の水を飲んでもとがめられることはない、あまりに安いからである。産業人の使命も、優秀な製品を水道水のごとく安価に提供し楽土を建設すること」。

 それから80年近く経過し今や最先端のテクノロジーを凝縮した薄型テレビ、携帯電話、デジカメなど性能のことを考えたら本当に割安な価格で消費者に届くようになりました。

 確かに、国民が優秀な商品を“水道をひねる”ように買えることはけっこうなことですが、松下電器はじめ日本を代表する産業は本当に利潤を上げているのかどうか。

 世の中には高いもの好きな人がいっぱいいることも経営の視野に入れて「最高の商品を最高の値段で売る」ことも考えないといけないと思います。 例えば、アラブの富裕層向けに売る薄型テレビが家電量販店の目玉商品と同じ価格でいいはずがありません。

 アラブ向けには、同じテレビでも画面以外の部分にはプラチナを使い、漆や金箔で華麗な装飾を施し、リモコンは金張りにし、ところどころダイヤモンドを散りばめた、100インチで2000万円ぐらいの限定商品を売り出せば即完売すること間違いありません。

 いったんそうしたプレミア商品が世に出ればロシアや中国のニューリッチも黙っていないでしょう。

 松下電器が今年10月社名を“パナソニック”に変更し、来年には“ナショナル”ブランドも捨てることにしたのはようやく水道哲学の呪縛から自らを開放する決断をしたものと理解し、儲かる企業に変貌することを期待しています。

本誌:2008年2.4号 14ページ

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