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井戸塀政治家いまいずこ

 赤城農林水産大臣の政治団体が実体のない事務所費を計上していたのではないかとされる問題で、テレビに映し出される農相の実家の門構えを見て思わずのけぞりました。いつのまに、政治家を何代か続ければ途方もない資産やお城のような豪邸を残すことができるようになったのでしょうか。

 父がテレビを見ながら「代議士のことを昔は井戸塀(いどべい)と言ったものだが…」とつぶやいていました。政治家になると金がかかりすぎてかつて立派だった家屋敷も引退する頃には資産も底をついて井戸と塀を残すのみとなるという意味です。

 私が生まれた家の近所に秋山長造氏の家があります。社会党参議院議員として長年活躍され、最後は副議長職を務めて引退。戦後の日本社会党の盛衰と命運をともにした政治家です。

 秋山氏は父と同じ歳。90の坂を越え、生まれ在所で余生を過ごされていますが、お住まいは言葉のあやでいえばまさに井戸塀状態、赤城農相の実家などとは比ぶべくもありません。

 それにしても赤城農相をかばって「800円のことでクビにしろと言うのですか」と景色ばんで見せる安倍首相の滑らかな口吻はかえって空しく、これが一国の首相の言葉かと耳を疑います。赤城農相も異様にゆっくりした口調で言い訳会見をしたあと逃げるようにヨーロッパに出掛けました。

 茨城の田舎でひっそり暮らしていたであろう農相の両親が「ここは事務所ではありません」と正直にマスコミにしゃべったばかりに、おそらく息子にこっぴどく叱られたあげく苦しい言い訳をしている様子を見るにつけ、農相はとんでもない親不孝ものという気がします。

本誌:2007年7.23号 12ページ

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