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巻頭特集特集:セルフレジ巡る量販店の“温度差”

大黒天物産に続き仁科百貨店にも登場 手軽さの一方で導入コストがネックに

  • レジ客の約10%が利用(ニシナフードバスケット堀南店)

 「簡単操作」「楽しさ」などを“売り”にしたセルフレジを設置する店舗が、岡山県南部でも普及の兆しを見せている。量販店最大手のイオン(株)(千葉市)が導入を進めていることもあり首都圏では徐々に浸透しつつあるが、県下企業でも大黒天物産(株)(倉敷市)や(株)仁科百貨店(同)が試験的に導入。(株)天満屋ストア(岡山市)、(株)ハピーマート(同)でも関心は高く、働き手確保が困難になっていることもセルフレジ普及の“追い風”となりそうだ。設置店舗での稼働状況を踏まえ、セルフレジのメリット、課題などを検証する。(リード)

 セルフレジは買い物客が自分で各商品についているバーコードをレジで読み取らせ支払いまで行う仕組み。商品は単品ごとに重量を登録しており、購入後計量することでレジの通し忘れや不正を防止するほか、4台に案内係1人を配置、買い物補助に加え不正防止にも目を光らせる。

 買い物客には、混雑時のチェックアウト待ち時間などの削減による利便性向上、店側にとっては人員削減による収益率改善、省スペース化などがメリットとして上げられる。POSレジでトップシェアを誇り、昨年4月からセルフレジシステム「WILLPOS-self」(ウィルポス・セルフ)を本格発売した東芝テック(株)岡山支店では「基本的に1カ所にとどまったまま一連の作業ができるので、車いすに乗った人でも楽に使える“人に優しい”レジ」(石田昇支店長)と強調する。セルフレジのスペースは約1平方メートルで、通常レジに比べ半分ほどで収まり「その分売り場を広くできる」とも。

●積極派―手軽な“自販機感覚”

 県下で先陣を切り導入に踏み切った大黒天物産は、昨年7月から、「ディオ岡山南店」(岡山市洲崎2-5-32)で4台設置。レジ担当者の採用が困難になりつつある状況を踏まえ導入したが、夜間にはセルフレジを閉鎖していることもあり、稼働からほぼ1年が経ったが、当初期待していたほどの効果は表れていないようだ。

 セルフレジの活用状況は、レジ客の約10%。同店では、買い上げ点数10品以上やジュースなどの箱買いなどでは通常レジの利用を促している。同社では総菜などの値引きについては、バーコードの張り直しで対応しており、値引きに対する対応が今後の課題となっている。

 一方、仁科百貨店は4月20日、「ニシナフードバスケット堀南店」(倉敷市堀南697-1)に4台導入し、こちらも活用状況はレジ客のほぼ10%。来店客が多い日では、250人ほどが利用している。

 買い物を補助するアテンダントを1人配置。銘菓コーナーの前にセルフレジを置き、銘菓の販売員とカップリングして双方がカバーし合う体制にしている。

 同社では「日常の買い物に新しい楽しさを提供できれば」と期待して導入。子どもから50歳代まで幅広く利用している。稼働後2カ月ほどだが「接客をあまり好まない人や昼食用の弁当などすみ分けができている」と分析している。

 弁当、総菜コーナーに一番近い場所に置いたことで、昼間の弁当需要にも対応し「“何でも買える自動販売機”感覚」として、少量の購入時にはコンビニ同様手軽さがメリットとなりそう。

 両社ともに「試験的な導入で他店への導入は未定」。しかし、「割引商品を気兼ねなく購入できる」という需要もある。通常レジと併用していることで「お客さんにとっては選択肢が増え、サービスの低下につながるものではない」などと一定の評価を得ている。

 まだ導入に踏み切っていない企業でも関心を持つ企業は多い。(株)天満屋ストア(岡山市)と(株)ハピーマート(同)のグループでは、担当者らが首都圏で開催される展示会に参加するなど積極的。現在は研究段階だが、少量の買い物対応のほか、採用環境が厳しくなる中にあって、考えられる対策の1つという。

 県南地域に出店している県外企業を見ると、量販最大手のイオン(株)(千葉市)では、5月20日時点で直営のジャスコ、マックスバリュ43店で導入。平成15年11月に「マックスバリュ松ケ崎店」(千葉県柏市)に初めて導入して以降積極的に導入を進めている。

 イズミヤ(株)(大阪市)は、3月から「大久保店」(京都府城陽市)で試験的に導入。津高店では、店長自ら大久保店で利用し大変気に入り、導入に意欲を見せる。岡山県下で出店攻勢を見せる(株)ハローズ(福山市)は具体的な導入予定こそ無いが、以前から研究段階にはあり関心は強いようだ。

●慎重派―費用対効果薄いとの声も

 半面、導入の“障壁”となっているのが、価格面とスーパー各社によって異なるシステムとの適合。各社ポイントカードやクレジット機能付きなど多種多様なこともあり慎重になっているという。価格は4台セットと接客係の管理端末などで定価千数百万円。レジだけの価格ではないため一概には言えないが一部からは「(自社で扱うレジの)2倍以上」との声もある。

 県下食品スーパーで最多の店舗数を誇る(株)山陽マルナカ(岡山市)は、香川のマルナカでは導入しているものの、県下では導入の予定は無いと言い切る。両備バス(株)ストアカンパニー(同)は、費用対効果が薄いとの認識から現状では導入は考えていないときっぱり。(株)わたなべ生鮮館(同)でも導入予定は無く、今のところ関心は薄いようだ。

 県外企業では、イオンに次ぐ売り上げ規模の(株)イトーヨーカ堂(東京都)では、対照的に導入店は無し。岡山店では省力化などのメリットは感じているが、直接接客する機会が減りサービス低下につながりかねないと関心は薄い。

地方でも普及は進むか

 全国でもセルフレジ導入企業は十数社とされる中で、イオンやイトーヨーカ堂など大手の動向を見ても、セルフレジの導入について見解はまっぷたつ。ただし、流通業界においてマイカル、ダイエーをグループ化したイオンの影響は大きく、潜在的な需要は高いとみる向きが多い。

 特に岡山県は地方都市の中では関心が強い地域で、東芝テックでも「今期が最大のチャンス」ととらえており、省力化によるランニングコスト削減などを呼び掛けている。食品スーパーに限らずホームセンターやドラッグストアにも幅広く営業している。

 潜在的な需要は高いだけに、導入の一番の障壁は「初期費用、費用対効果」で、普及すれば価格は下がると予測できるだけに「価格動向」がカギとなっている。

●初めてのセルフレジ
 (1)買い物かごをレジ隣に置き準備完了(2)準備が整ったら画面をタッチ(3)画面下のガラス部分に商品のバーコードを近づけ読み取らせる(4)同様の手順で次々とレジ登録(5)レジ横にセットされている買い物袋に登録した商品を入れていく。卵やパンなど形が崩れやすいもの用にある一時置き台と計量器が連動しており不正をチェック(6)画面と音声ガイダンスに従い支払い(7)画面でレシートの受け取り口を告知(8)袋を持ち帰り終了。買い上げ点数8点、初めてで不慣れだったため所要時間は約3分かかったが、思っていたよりも操作は簡単だった

本誌:2007年6.18号 4ページ

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