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[就業規則] 長時間労働者へ口頭指導

Q 我社の従業員に時間外労働が長い者がいます。昨今、過労死の問題がよく新聞に掲載されている中、心配しています。本人には口頭で注意しているのですが、「仕事が忙しいから無理」等、言い訳を言って指導を聞き入れません。どうしたらいいですか?

口頭だけの注意ではだめ

A やっかいな問題です。本人が長時間労働は悪いことだということを認識していないことは、残念なことによく聞きます。では、しかたがないので、そのままでいいのかというと、当然、企業責任が問われることになりますから、ご質問のように対応が必要になります。また、脳・心臓疾患の労災認定や長時間労働によりうつ病を発症して自殺に至るケースもあり、企業側の安全配慮義務が問題になるところです。

電通事件(最高裁二小 平12・3・24判決)」では、次のような趣旨の指摘をしています。「業務は所定の期限までに遂行すべきことを前提として、“帰宅してきちんと睡眠をとり、それで業務が終わらないのであれば翌朝早く出勤して行なうように”などと指導したのみであり、このような指示では、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を尽くしたことにはならず、具体的に業務の量等を適切に調整するための措置を採らなければならない。」

また、この電通事件では、差し戻しの東京高裁で、会社が1億6800万円を支払い、謝罪するとの内容で和解が成立しています。

 以上のことから、口頭指導だけではなく、勤務状況の把握・時間外労働削減対策・年次有給休暇の取得の促進・労働時間等の設定の改善等、厚生労働省「過重労働による健康障害防止対策の手引き」を参照されて改善指導されるとよいでしょう。

 ただ、すぐにでも適切に調整することが難しいときは次のような具体的対策をとることもよいでしょう。

(1)文書通達を出すなどし、一定の時間になったら強制的に退社させる。(守衛の見回り等があれば、残っている者の名前をひかえる)

(2)計算された休息時間を強制的に確保する。

(3)強制的にまとめて休暇を取らせる。(年次有給休暇等)

双田社会保険労務士事務所所長
双田 直氏
岡山市野田4-1-7
TEL086-246-6064

本誌:2007年5.14号 31ページ

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